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[社説]中国サービス市場の開放で未完の韓中FTAを補足すべきだ

[社説]中国サービス市場の開放で未完の韓中FTAを補足すべきだ

Posted December. 01, 2015 07:18,   

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中国との自由貿易協定(FTA)批准同意案が昨日、国会で可決され、年内に韓中FTAを発効させたことで、今年だけでも約1兆5000億ウォンの関税引き下げの恩恵が受けられるようになったのは幸いなことだ。しかし、国会韓中FTA政府与党協議体が、批准同意案の処理条件として、「農漁民支援共栄基金」として1兆ウォンの造成に合意したのは納得できない。

与野党は6月4日、政府が国会に批准同意案を提出した後、170日間も無為に年月を重ね、通常国会が終わる10日前から交渉に入った。与党セヌリ党の金正靛(キム・ジョンフン)政策委議長は先月27日、与野党協議で、「大統領がパリに行けば、習近平主席と会うことになるが、批准できなければ、何を語ることができるだろうか」と主張し、野党にすがりついた。与党はFTA可決を大統領のメンツと思っていたので、野党がどれほど無理な条件を掲げても、受け入れざるを得なかっただろう。

農漁民の被害を補填するいわば「共栄基金」は、金額や基金調達方法、使途などがすべて適切ではない。民間企業や公企業、農協水協などの自発的基金で1兆ウォンを造成すれば、半強制的な割り当てになるのは目に見えている。政府は、韓中FTAに没頭したため、米国が主導するアジア太平洋12か国が参加する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加が遅れたが、市場開放のレベルの高いTPPに参加する時は、またどれほど多くの共栄基金を拠出することになるだろうか。

さらに、韓中FTAは、相互に開いた門戸も利益も少なめの「半分だけのFTA」であり、開放効果も大きくないだろうという懸念が出ている。特に、農業分野は、米や牛肉、豚肉、リンゴ、梨などの敏感品目の大半を開放対象から外しており、被害規模が小さいかもしれない。2006年の韓米FTA交渉を主導した与党セヌリ党の金宗壎(キム・ジョンフン)議員は、「農村支援基金の造成は、ばら撒き式の開放」だと主張し、「このようにあやしたり、ばら撒いたりすれば、最後は国民精神もむしばむことになるだろう」と指摘した。1994年のウルグアイラウンド以来、200兆ウォンに上る農家補助金を支援してきたが、農家の年平均所得は3000万ウォンで足踏み状態となっている。農業が第6次未来産業に浮上する時代に、農業を過保護してはかえって競争力を台無しにする懸念が高い。

韓中FTAが発効すれば、20年間に渡って、品目数基準で韓国側は92.2%、中国側は90.7%の商品関税を廃止することになる。企業や農民などの経済主体は、高品質、高生産性で競争力を高め、政府は食品衛生基準などの非関税障壁を取り払うことで、FTAの経済効果を高めなければならない。国会が、サービス、投資分野の2段階交渉を通じて、中国市場の追加開放を確保すべきだと主張して、「韓中FTAの補完を促す決議案」を出したのは、それだけ韓中FTAが未完であることを示している。