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[オピニオン]灯りの消えた「メリークリスマス」

[オピニオン]灯りの消えた「メリークリスマス」

Posted December. 01, 2015 07:18,   

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非難の矛先を探し回る米国の大統領選候補ドナルド・トランプ氏がスターバックスにも噛み付いた。スターバックスは毎年クリスマスのシーズンになると、星やソリなどクリスマスを象徴する紙コップでクリスマスのムードを盛り上げたが、パリのテロが起こった今年は、キリスト教のシンボルを除いて赤いカップだけにした。トランプ氏は「スターバックスがクリスマスを祝わないことにした」と不買運動を提案した。イスラムに対するキリスト教徒の憎悪心を票に結びつけようというトランプ氏らしい選挙運動だ。

◆クリスマスはキリスト教の最大の祭りだが、キリスト教だけのものではない。キリスト教徒でない人も、家族や隣人とクリスマスを楽しむ。インドネシアやエジプトなど一部のイスラム国家もクリスマスを公休日に指定して祝う。驚くべきことに、過激派組織「イスラム国」(IS)の拠点であるシリアも、12月25日を休日に指定している。イスラムでは、イエスをムハンマド(マホメット)同様、預言者と認めている。

◆テロの影響で欧米世界のクリスマスムードは以前のようではない。パリでは観光客を集めるシャンゼリゼのクリスマスツリーのライトアップが中止された。米国のショッピングモールでは、「メリークリスマス」に代わって新年の挨拶の言葉が登場し、公共の場所からサンタやトナカイが消えた。ISが欧米国家に対するテロを警告している中、敢えてキリスト教色を出した言葉で他宗教を信仰する人を刺激する必要はないということだ。米国は、ワスプ(WASP・White Anglo-Saxon Protestant)によって建設された国だが、最近になって無神論者やイスラム教徒が急増している。ピューリサーチの調査によると、2014年の米国のキリスト教徒は46.5%で、全人口の半分以下となった。

◆韓国は東アジアで唯一クリスマスを公休日に指定している国だ。人口比のキリスト教徒の数も東アジアで最も多い。いつからかモーテルが混雑する遊興の日になった感じもなくはないが、人類救済のためのイエス誕生の意味は大切だ。ISによるパリのテロでクリスマスを思う存分祝えないことは残念だが、他宗教に対する寛容が重要な時だ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員shchung@donga.com



shchung@donga.com