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[社説]朴大統領は国定化を推し進めながら、議論すらしてはいけないとは

[社説]朴大統領は国定化を推し進めながら、議論すらしてはいけないとは

Posted October. 14, 2015 07:14,   

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朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は昨日、訪米を前にしての首席秘書官会議で「今、国や国民経済が厳しい」と前提した後、「政治圏は(韓国史教科書の国定会について)不要な議論で国論分裂を起こさず、正しい歴史教育の正常化を実現して、国民統合のきっかけになるよう、一緒に努力してもらいたい」と語った。国定化を巡る議論を「不要だ」と一蹴する朴大統領の認識は危なっかしい。政治圏が国定化のような重要問題を巡って、議論を繰り広げるのは当然だ。「国や国民経済が厳しいのに」、急務でもない決定を背後で下して不要な議論を招いたのは政治圏ではなく、むしろ朴大統領本人だ。

国定化は事実上、朴大統領が一人で推し進めた。主務省庁の教育部の黄祐呂(ファン・ウヨ)長官やキム・ジェグン次官は、当初国定化強行に二の足を踏んでいたが、最後にやむを得ず、国定化に転じた。国史教科書国定化の実務を担当している国史編纂委員会の金貞培(キム・ジョンベ)委員長は、1973年の維新直後の国定化当時、国定化を強く批判した人物だ。教育部は、国定会を推進する過程で、討論会を1回開いたのを除いては、きちんとした公論化の手順すら経ていない。国定化の是非とは関係なく、朴大統領が主要政策を推進する独断的なやり方は望ましくない。

朴正熙(パク・チョンヒ)政権でも、1973年の国定化決定前に、1972年に国史教育強化委員会を立ち上げて、名望のある国史学者らをくまなく参加させた。当時、国史学界は、植民史観から脱却できなかった従来の複数の検定教科書を自ら改善しようとする動きを見せた。それが、維新政権の国定化決定と微妙に合致した。昨今のように、国史学界の大半が国定化に反対しているのに、大統領一人が推し進めることとは異なっている。

もちろん、国史学界がかつてほど信頼されていないのは事実だ。金貞培委員長は一昨日、韓国史教科書国定化を発表した後、「新教科書を作る時は、従来の歴史学者中心の執筆陣から果敢に脱却し、政治、経済、社会学者なども、現代史執筆に含ませたい」と話した。国定化に踏み切っても、国史学界だけでは現代史の左派偏向を正すことができないという限界を認めたのだ。

与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表は一昨日、最大野党新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表が提案した国定化関連2+2会談を拒否した。大統領も、政権与党代表も、国定化は議論の余地すらないほど正しいというような態度を取っている。政府与党が決定すれば、国民はただついてきたらいいとでもいうのだろうか。