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[社説」歴史教科書の国定化、政権によって歴史教科書が変わってはならない

[社説」歴史教科書の国定化、政権によって歴史教科書が変わってはならない

Posted October. 08, 2015 07:36,   

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政府が韓国史教科書の国定化という最終結論を下し、来週、これを公式発表する予定だという。大統領府は昨日、「教育部と与党セヌリ党が教育的観点から決めることだ」としながらも、昨年2月に朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が、「歴史教育を通じて、正しい国家間やバランスの取れた歴史意識を育成するのが重要だ」と強調したことを改めて紹介し、今回の決定に大統領の意中が反映されたことを示唆した。

野党圏はもとより、学界からも国定化への批判世論が高いのに、朴大統領が強い意志を見せているのは、現在の検定制では、韓国史教科書の左派偏向の実態を正すことができないという判断からだろう。先月、教育部国政監査でも、セヌリ党の徐鐻𨥉(ソ・ヨンギョ)議員は、教学社(キョハクサ)を除く2013年検定合格の高校韓国史7種の教科書の執筆者53人中36人(67.9%)が、左派性向の歴史研究会や民族問題研究所、全国教職員労働組合(全教組)などに所属している学者や教師だと明らかにした。

志学社(チハクサ)とリベルスクールの教科書は、割合バランスの取れた見方を盛り込んでいると評価されているが、学校での採用率は10%ほどに過ぎない。右派学者らが書いた教学社教科書は、全教組教師や左派市民団体などの嫌がらせを受け、ただの一校も採用できなかった。政府が国定化を検討することになったのも、教科書市場の一方的左派偏向の空気から出てきた逆風と言っても過言ではない。

朴大統領は昨年、「政府検定を通った教科書に、事実誤謬やイデオロギー的偏向性議論があってはならない」と指摘した経緯がある。さらに、韓国史はほかの教科書とは違って、「執筆基準」から外れないようになっている。この執筆基準が緻密なものなら、間違った教科書など出てくるはずがない。しかし、2011年、教育部がまとめた韓国史執筆基準の場合、わずか12ページに過ぎない。大韓民国の正統性を否定してはならないとか、北朝鮮政権を一方的に前向きに描いてはならないなどの基準すら、最初からなかった。

歴史教科書が国政となっている国は、北朝鮮やベトナム、ギリシャ、トルコ、アイスランドなど、指で数えるほどだ。朴大統領が韓国史教科書の国定化を推し進めても、政権が変われば教科書内容が変わったり、発行体制が再び検定に変わるかもしれない。左派偏向の歴史学界だけに教科書執筆を任せてもならない。政治や経済、社会分野の専門家らに、十分な時間をもっていい韓国史教科書を執筆させるのが、歴史教育を正すことになるだろう。愛国心の高揚も重要だが、一つの政権が歴史教科書の執筆を牛耳る体制を作るのは正しくない。