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芸術用紙に文書保存用に、千年経っても変わらない韓紙の秘密

芸術用紙に文書保存用に、千年経っても変わらない韓紙の秘密

Posted October. 07, 2015 11:30,   

한국어

「千年経っても変わらない紙」

韓紙の特性を最もよく表した言葉だ。韓紙は丈夫で保存性が良いという特性があり、他の紙と比較すると活用度が多様で世界的な関心を集めている。

9日、米ニューヨークのSVA(School of Visual Arts)では、「2015韓紙世界化戦略に向けた国際セミナー」が開かれる。文化体育観光部(金鍾徳長官)が主催し、韓国工芸・デザイン文化振興院(崔晸迵院長)が主幹するこのセミナーは、「千年韓紙、世界と会う」をテーマに国内外の専門家が韓紙の特性、書画、芸術、保存用の紙としての長所を論じる。

●韓紙の原料と製造過程

国民大学林産生命工学科の金亨振(キム・ヒョンジュン)教授は、今回のセミナーで、「千年韓紙」の特性が独特な原料と製造過程に由来することを説明する。韓紙は、楮(こうぞ)の皮から取った靭皮(じんぴ)繊維を原料とする。長繊維の靭皮繊維は、西洋紙の原料である短繊維やパルプよりも厚くて丈夫だ。韓紙の製造過程で最も独特な点は、灰汁を利用して楮をゆでることだ。灰汁は紙の強度を高め、耐久性と保存性が優れた紙の製造に効果的だ。

さらに、「搗砧」という工程も韓紙の品質を高める。紙を棒などで砧打ちすると表面が滑らかになり、組織がち密になる。

この過程を通じて、「丈夫で保存性が良く、表面が滑らかな紙」韓紙の特性が生まれる。西洋紙の耐久年限が長くて200年を超えないのに比べて韓紙が千年持ちこたえる理由は、まさに独特な材料と製造工程にある。

●芸術のための韓紙

今回セミナーで、キム・ヒスク氏(米フィラデルフィア・ハバフォード大学美術学科長)は、「西洋紙の代案としての韓紙事例研究」を発表する。キム氏によると、韓紙は他の紙に比べて優れたキャパシティーがある。一般の紙ではにじむ油性のインクも、韓紙ではディテールを明確に表現できる。アクリルのような水性染料も、韓紙では程よく広がり、自然な透明さを生み出す。

キム氏は、2003年から韓紙の特性を生かした芸術作品を作って展示してきた。キム氏は、韓紙に様々な染料を利用した作品シリーズ「楽園の間(Paradise Between)」を公開し、韓紙の表現力を説明する予定だ。

●保存処理用の韓紙

紙で書かれた古文書などは破損防止のために背面に紙をつけて形を維持する方法で保存される。これまで、西洋の博物館などでは日本の和紙を保存処理用の紙として活用してきた。しかし、2000年代初めから保存用紙として韓紙の優秀性が米国や欧州の保全処理専門家に伝えられ始めた。

バチカンでは昨年、法王ヨハネ23世の愛蔵品だった地球儀の復元に韓紙を活用することを決めた。また、米国の国会図書館も、韓紙の耐久性と特徴を研究するために一連の実験を進めた。

日本の和紙は本来、絵を描く用途で作られ、表面が滑らかだが、破れやすい。一方、韓紙は柔らかく丈夫で、耐久性が和紙に比べて良いという点が、保存処理専門家に良い評価を受けている。

今回のセミナーでは、シェークスピアの作品を最も多く所蔵する米ワシントンのフォルジャー・シェークスピア・ライブラリーで、紙類保存処理専門家のレア・トゥステファノ氏が、「保存用紙として韓紙の活用事例とその可能性」を発表する。