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[オピニオン]盗撮社会の覗き見症

Posted August. 28, 2015 07:12,   

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ピ−ピングトーム(Peeping Tom)という言葉がある。女性のヌードをこっそり盗み見たことで、その罰として盲人となったトムという人から由来した言葉であり、覗き見症男性を意味する。アルフレッド・ヒッチコックの作品のうち、「裏窓(Rear Window)」という映画がある。事故で車いすに頼って生きているとある写真作家が、カメラレンズで周りの隣人たちを覗き見する内容だ。観客は映画を見ながら、主人公のように覗き見にはまっていく自分を見つけ、驚くことになる。映画の中のカメラは、盗撮の元祖ともいえる。

◆いつからか、テレビにリアリティ番組が登場し始め、今は一つのジャンルとして定着した。リアリティ番組は、映画やドラマの中の「もっともらしい現実」ではなく、「現実そのもの」を見たがる視聴者の欲望に応えている。しかし、リアリティ番組の現実も、突き詰めてみれば、現実そのものではない。出演者らは、何もないかのようにふるまっているが、その実カメラを意識している。本当にリアリティ番組の視聴者らが見たがっていた現実そのものは、盗撮の中に入っているのかもしれない。

◆最近、26歳の女性のチェ某氏が、ウォーターパークの女性シャワー室でシャワーの場面を盗撮して、わいせつ物流通サイトに販売した容疑に拘束された。チェ容疑者は、出会い系アプリで出会ったとある男性から、「金を払うから」という提案と共に、携帯電話ケース型の盗撮カメラを受け取って、185分分量の映像を撮って渡した。チェ容疑者は、女性のヌードを盗み見たのではなく、ただ見たことに過ぎないが、チェ容疑者が盗撮した映像を通じて、多くの人たちがウォーターパーク内の女性シャワー室を盗み見した。

◆盗み見したい欲求や中世のピーピングトーム、ウォーターパークの映像を見たネットユーザーらは皆同じともいえるが、現代人の盗み見の欲求のほうがより強烈らしい。画質の良い小型カメラの技術の発達で、盗み見るのがより簡単になったためだろう。盗撮の目は、全てのものを見せている。ひどいことに、盗撮している自分の姿まで見せている。チェ容疑者の盗撮映像には、シャワー室の鏡に映ったチェ容疑者の姿も入っており、これが手掛かりとなって、警察に逮捕されたといわれている。皮肉なことだ。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com