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[オピニオン]北朝鮮の富裕層と農民市場経済

[オピニオン]北朝鮮の富裕層と農民市場経済

Posted July. 28, 2015 07:18,   

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高級アパートにベンツやBMWのセダン、輸入ペット犬、三星(サムスン)テレビ、高級レストラン、サウナ、フィットネスクラブ…。このくらいの物質的な豊かさを享受しているとすれば、韓国でも富裕層と言えるだろう。ところが平壌(ピョンヤン)で5万ドル以上を持って、同様の贅沢な生活をしているエリート階層が20〜30万人程度いて、最大で100万人とも言われると、米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)が、今年4月に報道した。金正恩(キム・ジョンウン)体制下の北朝鮮経済が意外と堅調という分析も相次いでいる。

◆米国の議会調査局(CRS)が26日、北朝鮮が今年初めから若干の経済成長を遂げており、昨年に発表された一連の経済改革が、一部住民の生活向上につながったとする趣旨の報告書を公表した。「産業と農業に市場経済が適用される改革措置が、北朝鮮に経済成長の機会を生み出している」と言う。韓国銀行によると、北朝鮮経済は昨年に1.0%成長し、2011年の0.8%、2012年の1.3%、2013年の1.1%に続いて4年連続でプラス成長を記録しているという。

◆住民を飢えと恐怖に震わせながら核開発だけに打ち込んでいる北朝鮮で、予想を裏切る実績が出た背景には、皮肉にも北朝鮮当局の無能がある。1990年代半ばに食糧難で配給制が崩壊された北朝鮮は、草根の市場経済とも言える農民市場を黙認するようになり、それから約20年が過ぎると、市場経済が体制を支える水準にまで成長したのだ。今年5月にグーグル衛生が捉えた北朝鮮の農民市場は約396ヵ所にあり、2010年の200ヵ所あまりから2倍近くまで増えた。大儲けした金持ちらが特権層と結託してからは、お金がお金を生むシステムが築かれつつあるようだ。

◆国家情報院は14日、「農民市場世代はイデオロギーよりは金儲けに関心が多く、個人主義的な傾向が強く、親世代に比べて体制に対する忠誠心が弱い」と国会に報告した。農民市場での取引が食糧難を緩和させる機能を果たしているのだ。住民が経済生活を、次第に市場に頼れば、金正恩氏も改革開放を真剣に考えざるを得なくなるだろう。何を持っても、究極的には「市場」に勝てるものはないというのが世の習いだ。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com