Go to contents

[オピニオン]組織のための犠牲

Posted July. 21, 2015 07:15,   

한국어

「日陰から陽の当たる場所を目指す」情報機関には自殺の文化がある。あえて「文化」と呼んだのは、特定の自殺に「名誉」を与えるためだ。情報員は敵にばれた時、普段持ち歩いている毒薬を飲んだり、携帯している銃で自殺を図る。個人的には過酷な拷問を避けるためであり、国家的には公表してはならない情報の公開を防ぐためだ。

◆国家情報院では、時に正常でない逸脱情報活動を隠すために自殺することが問題だ。昨年3月、ユ・ウソン・スパイ証拠捏造事件で、クォン・セヨン国家情報院対共捜査局課長(当時)が検察の取調べを受けた後、車の中で練炭自殺を図った。05年11月には、安全企画部の不法盗聴事件の捜査で李秀一(イ・スイル)元国家情報院第2次長が命を絶った。盗聴した安全企画部「ミリム・チーム」を率いたコン・ウンヨン氏も捜査途中、凶器で自害した。

◆欧米では、情報員が不法行為をした組織を守るために犠牲になるケースはめったにない。反対に、組織が情報員を犠牲にしてスキャンダルになることはある。03年、英国のブレア政府で国防省情報局のために働いたデービッド・ケリー博士の個人情報を公開して自殺に至らしめた事件や、02年に米国でブッシュ政府が中央情報局(CIA)秘密工作員のヴァレリー・プレイム氏の個人情報を公表したリークゲートがそうだ。

◆国家情報院で携帯電話のハッキングプログラムRCSを導入し、運用を担った技術職員のイム氏が自殺した。イム氏は、自殺する前に関連の電算記録をすべて削除した。「不法ハッキングはなかった」という国家情報院は、イム氏の自殺で不必要な疑惑が起こることを憂慮し、削除されたファイルは100%復元可能だと主張する。しかし、完全な復元が可能なのか疑問であり、可能だとしても使用者がいなければ、考えられる疑惑がすべて個人の逸脱に帰せられる可能性がある。イム氏が遺書に書いた「業務に対する行き過ぎた欲が、今日の事態をもたらした」という言葉が謎として残された。

宋平仁(ソン・ピョンイン)論説委員 pisong@donga.com



pisong@donga.com