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[オピニオン]韓国の国民的魚、サバ

Posted July. 16, 2015 07:25,   

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よく熟成したキムチを鍋にふんだんに敷いて、缶詰のサバを入れる。これにテンジャン(韓国味噌)一匙、ニンニクやネギなどを入れて、十分に煮詰める。汁が煮詰まったら、粗挽きの唐辛子の粉や醤油を入れて仕上げる。「ベク主婦」という愛称が付けられた料理研究家・白鍾元(ベク・ジョンウォン)氏が最近、ケーブルテレビで紹介した「サバの煮つけ」の調理法が、若者たちの間で人気を得ている。そのおかげでとあるオンラインショッピングモールでは、缶詰のサバが昨年同期より14倍以上も売れた。

◆サバは背中の青い魚の代表走者だ。サバならではのうまみに厚めの肉。頭脳発達や生活習慣病の予防によい不飽和脂肪酸やDHA成分が豊富な「スーパーフード」と言われている。煮つけや鍋料理、焼き魚に変身可能なサバは、長い間、おふくろの味の代表的メニューだった。今は再開発で無くなったが、鐘路(チョンノ)ピマッゴルの狭い路地は、お昼やサラリーマンの会社帰りの時間には、練炭の上の焼き網で、サバを焼くにおいや煙が立ち込めていた。こんがりと焼きあがった焼きサバは、マッコリとはとても相性が良かった。

◆安価でよく目にした「韓国の国民魚」サバの存在感に変化が感じられる。近海で取れるサバの漁獲量が減少し、ノルウェー産の冷凍サバが空いたスペースに取って代わっている。韓国産サバの場合、サイズは小さくなるのに価格は値上がりする現象も起きている。釜山(ブサン)共同魚市場によると、6月から7月初めまでは、サバの総販売量が前年同期比81.3%伸びたが、6月の平均卸売価格は、この5年間で最も高い水準だった。異常高温や密猟が主な原因となっている。

◆詩人は塩漬けのサバから、塩辛い人生の意味をくみ上げる。パク・フギ詩人の「サバの塩漬け」という作品がそれだ。サバは、大衆歌謡でも注目を集める魚だ。新世代なら、個人の趣向によって、それぞれルシード・ポールの情緒的「サバ」とノラジョの陽気な曲「サバ」を好むだろう。7080(70年代や80年代に大学に通った)世代の胸の中には、キム・チャンワンの「母親とサバ」が深く陣取っている。「真夜中にのどが渇いて、冷蔵庫を開けてみたら/片隅にサバが塩漬けされている」。ぶつぶつと口ずさむように歌ってこそ、本当の味がする歌だ。そうだ、今日の夕飯のメニューは焼きサバにしよう。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com