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[オピニオン]欧州の国民投票という賭博ゲーム

[オピニオン]欧州の国民投票という賭博ゲーム

Posted July. 06, 2015 07:13,   

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「イエス」か「ノー」か。

これで2度目だ。昨年9月、スコットランド分離独立の国民投票の取材に行った時、住宅街の窓の外にぎっしりと貼られた赤と青のステッカーが今でも鮮やかに目に浮かぶ。普段、親しく過ごした上の階の家と下の階の家が投票を前に顔を赤らめて口げんかする姿も目にした。

今度はギリシャだ。

ムードは、スコットランドの時よりも険悪だ。まるで生きるか死ぬかを決断するかのようだ。銀行が営業を停止し、現金がなく、毎日毎日生きながらえる人々の目は恐怖に満ちていた。アテネ市内の広場では、連日、賛成派と反対派がそれぞれ集会を開き、勢力対決をしている。国会議事堂前のシンタグマ広場は、古代ギリシャで人々が集まって民意を論じたアゴラ広場が再現されたかのようだ。しかし、平和ではなく一触即発の危機感が漂っている。

ギリシャ人は、賛成と反対を問う投票を前に、完璧に2つに分かれた。若者層と老年層、裕福な者と貧しい者…。初めは曖昧なムードで始まるが、終盤に行くほど熱気に包まれ、結果の予測を難しくさせる。スコットランドの国民投票の前夜も、エディンバラ市内では、未明まで街に出ていた人々がスローガンを叫んで歌を歌った。

ギリシャの国民投票は周知のように、ツィプラス首相が先月27日、交渉の場から飛び出して突然発表した。ユーロ地域からの脱退を望まない多くの国民は、初めは債権団の協議案に「賛成する」と答える割合が高かったが、ギリシャ銀行に対する資本統制が始まると「反対」が急激に高まった。現在のところ、どのような結果になるか一寸先も見通すことができない。ギリシャ人の内部分裂は、国民投票が終わった後も長く傷となって残るだろう。

長年の経済危機の中で起こったポピュリズムのためだろうか。最近、欧州の指導者の間では、国民投票が流行だ。スコットランド分離独立国民投票の実施に同意して、苦境に立たされた英国のキャメロン首相は、今回は2017年までに英国の欧州連合(EU)離脱の有無を問う国民投票を実施すると明らかにした。ロシアのプーチン大統領も昨年、クリミア半島の住民投票を口実に、クリミア自治共和国を編入した。スペインのカタルーニャ州も、分離独立国民投票を実施するために虎視耽々と機会をうかがっている。

国民投票とは、国家のアイデンティティに関する重大な政治・外交事案に対して国民の意思を直接問う「直接民主主義」の一形態だ。しかし、政策をめぐって行う「国民投票」は、しばしば指導者の信任を問う「信任投票」と関連する。信任投票は、独裁者が自分の権力を無制限に強化する時に好んで使ってきた手法だ。ナポレオンが終身執政官から皇帝になる時、ヒットラーが総統に就任する時に実施した国民投票がその例だ。ツィプラス首相も今回の投票で万一勝利する場合、国内はもとより債権団との交渉でも絶対的な非妥協的権力を行使するだろう。

欧州が「統合」から「分離」に進む巨大な流れの中で国民投票が流行する可能性もある。しかし、最近の国民投票は、指導者が責任を回避して、自分の政治的立場を強化するための賭博ゲームという印象が強い。ツィプラス首相は国民投票を「交渉の道具」として使おうとしたが、債権団から相手にできない人物と見なされた。「ユーロ地域離脱」、「EU離脱」」、「英連邦解体」とともに世界経済に大きな影響を呼び起こしかねない事案が、特定国家や地域住民の投票という「不確かな賭博ゲーム」によって決定され得るということは、恐怖そのものだ。