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[オピニオン]「悲劇の国」ギリシャの悲劇

[オピニオン]「悲劇の国」ギリシャの悲劇

Posted July. 04, 2015 07:04,   

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ギリシャは民主主義の発祥地として有名だが、西洋演劇が誕生したところでもある。ギリシャ演劇なら、断然悲劇と言える。主人公の悲しい運命に、しきりに目頭を熱くさせる演劇のことだ。古代ギリシャは毎年3月に悲劇競演大会を開催した。この大会を通じて、ギリシャ3大劇作家のアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスが排出された。このうち、ソポクレスは23回の優勝を誇る。皆、紀元前5、6世紀の人物たちだ。

◆ギリシャ悲劇は登場人物がすべて権力者たちだ。彼らは嫉妬や恨み、放縦や欲深さで破滅に至る。当時、演劇は都市全体が騒ぐ人気行事だった。国がすべての経費を払い、「コレグス」という富裕なスポンサーがさらに大金を支援した。既得権層主導の行事で、権力の没落を描いた複数の作品が公演されたのは、ギリシャ民主主義の高いレベルを物語っている。ギリシャ悲劇が盛んだった紀元前5世紀以降は、ペルシア戦争で勝利したギリシャが全盛期を謳歌した時代だった。悲劇は繁栄の中でカタルシスを願う豊かさの産物だった。

◆国家不渡を出したギリシャが、不憫なほど揺らいでいる。外国との取引が打ち切られて、輸入生活必需品は底をつき、公共交通は運行回数を減らした。食べ物がなく、深夜までゴミ箱を荒らす人たちも目撃される。国民投票を控え、社会は右往左往しているが、海外に財産を隠した富裕層は、他人事のように無関心だ。先駆的に民主主義を起こして、不滅の文化を創造したあの賢者等は皆、どこに行ってしまったのか。

◆古代ギリシャは直接民主主義を導入した国だったが、演劇大会での優勝作品選びは、別のやり方を選んだ。観客らの拍手の音に任せず、抽選で召集した専門家らに審査をさせた。人気よりは冷静な判断が、素晴らしい作品を選ぶことができると見たのだ。ギリシャ危機は、政治がすべきことと、してはならないことを問わず、大衆人気に迎合して起きた失敗だ。民主主義が初心を忘れ、堕落すれば、その終着点はどこなのか、ギリシャは民主主義の聖地で生々しく示している。

洪贊植(ホン・チャンシク)主席論説委員 chansik@donga.com