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[社説]公務員9人の命を奪ったずさんな海外探訪

[社説]公務員9人の命を奪ったずさんな海外探訪

Posted July. 03, 2015 07:27,   

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中国東北地方の吉林省で一昨日、韓国の地方公務員らを乗せたバスが転落し、公務員9人と旅行会社社長の、韓国人10人が死亡し、10数人が重軽傷を負う事故が起きた。彼らは、行政自治部所属地方行政研修院の中堅リーダー課程(地方職5級対象)の研修者らであり、4泊5日の日程で中国東北地方の高句麗(コグリョ)・渤海(バルヘ)遺跡や抗日独立運動の跡地を見学する歴史文化探訪に乗り出して、とんだ目にあったのだ。

まだ正確な事故原因はわかっていないが、事故車両のバス運転手が向かい側から走って来た別のバスを避けようとして、橋の下に転落して起きたという証言が出ている。ハードなスケジュールによる運転手のスピード違反や不注意、バスの整備不良、東北地方の劣悪な道路事情などが原因かもしれない。

事故が起きてから1時間以上も経ったのに、救助車両が来ず、負傷者の治療や移送が遅れ、初期対応が足りなかったとも言われており、もどかしいばかりだ。中国政府も負傷者の治療や死亡者移送に積極的に協力することを呼びかける。

事故が起きた地域は、白頭山(ペクドゥサン)や高句麗・渤海の遺跡地などが集中しており、特に7月と8月に韓国人観光客らが好んで訪れるところだ。旅行会社各社が我先に「低価格の旅行商品」を売りに出し、スケジュールを無理に組む事例が多い。過密な日程をこなそうと、現地の安全問題をないがしろにした節がある。4泊5日間の今回の旅行商品コースだけを見ても、実は7泊8日のコースだったという。大規模な研修やパッケージツアーの場合、国内旅行会社が海外の現地業者に宿舎や交通、食事などすべての日程を委託する「下請け」システムが、ずさんな観光を招いているという指摘もある。公務員研修課程で税金をつぎ込んでこのような走馬看山(大雑把に目を通すこと)の海外探訪を続けるべきかどうか疑問だ。

行政自治部の鄭宗燮(チョン・ゾンソプ)長官は昨日、犠牲者らとその遺族らに弔意やねぎらいの言葉を表し、公務員らの「海外での現場学習」中に安全事故が起きたことについて、国民に謝罪した。政府は中国政府と緊密に協力して、遺体収拾や負傷者治療に万全を期すべきだ。