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[オピニオン]カーナビアプリ「キムギサ」のサクセスストーリ

[オピニオン]カーナビアプリ「キムギサ」のサクセスストーリ

Posted May. 29, 2015 07:14,   

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「キムギサ(「ドライバーのキムさん」の意味)〜、運転して!」はMBCのお笑い番組「ギャク夜」が生み出したヒット流行語だった。「どちらへ?」(キムさん)「汝矣島(ヨイド)の双子ビルお願い」(奥様)「着きましたけど、どうしましょうか?」(キム)「キムさん、どっちが兄なのか聞いてきて」。今も記憶に新しいネタのひとコマだ。運転が苦手の女性を意味する「キム女史」なら、どんな道でもすらすらと道を案内してくれる「キムギサ」は尚更必携品だろう。

◆「キムギサ」の名を取って作成したカーナビアプリケーションの「キムギサ」は、加入者1000万人に、月平均の道案内件数が1億2000万件に上り、「国民のカーナビ」の異名を得た。キムギサは独特の蜂の巣の模様に保存された場所をタッチすれば、渋滞の道を避けて、最短時間で行けるリアルタイムの増強現実(AR)を通じて案内してくれる。特定場所やフォルダーをソーシャルネットワーク(SNS)やカカオトークなどを通じて伝送し、道を案内をしてもらうことができ、車の前面ガラスにカーナビ画面を写して見ることも可能だ。

◆同アプリを開発したベンチャー企業「ロック・アンド・オール」が先週、626億ウォンでダウムカカオに売却され、久しぶりにベンチャー企業が一攫千金を得た。同社の創業者、パク・ジョンファン、キム・ウォンテ両共同代表とシン・ミョンジン副社長は東亜(トンア)大学と釜山(プサン)大学大学院でコンピューター工学を専攻した同級生たちだ。複雑なソウルの道を彷徨った「釜山男」たちは、2004年に「ポイントアイ」というベンチャー企業で一緒に働きながら携帯フォンのカーナビゲーションを開発した。会社がナビゲーション事業を畳むと、それまで積み上げた技術とノーハウに未練が残った3人は、2010年、退職金でもらった5000万ウォンずつを投資してロッく・アンド・オールを設立した。

◆大金持ちになった3人だが、これまでの道のりは、並みのベンチャー企業と同じように試練の連続だった。ナビゲーションアプリはKTやSKテレコムなどの移動通信大手が無料で提供しているため収益性が高くなかった。投資者が見つからず、しばらくは中小企業振興公団から資金を借り入れて会社を運営した。それでも、一番速い道を、一番速くアップデートするという核心的な価値に集中し、渋滞に疲れたドライバーたちを引き付けた。挫折を知らない挑戦精神こそベンチャー企業の成功の秘訣であることを、キムギサのサクセスストーリが改めて確認してくれた。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com