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[社説]国連首脳を愚弄した金正恩氏の気まぐれリーダーシップ

[社説]国連首脳を愚弄した金正恩氏の気まぐれリーダーシップ

Posted May. 21, 2015 07:25,   

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国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長が、開城(ケソン)工業団地の訪問を発表して1日も経たずに、北朝鮮が訪朝許可を突然取り消したことは、北朝鮮がどれほど予測不可能で異常な体制なのかを知らしめる。潘氏は20日午前、ソウルデジタルフォーラム開幕式の祝辞の前に、「今日未明、北朝鮮側が突然、外交チャンネルを通じて私の開城工団訪問の許可を撤回すると伝えてきた」とし、撤回の理由について何の説明もなかったと話した。潘氏が「非常に遺憾だ」と述べるほど北朝鮮の一方的な決定は深刻な外交的非礼だ。

北朝鮮が、事前に国連のチャンネルを通じて調整を終えた潘氏の開城工団訪問を突然取り消した理由に対して、様々な解釈が入り乱れている。潘氏が19日に訪朝を発表し、北朝鮮の核・ミサイル開発が国連安保理決議に反すると指摘したことが不満の可能性もあり、米国のケリー国務長官がその前日、国際社会の北朝鮮に対する圧迫強化について言及したことに憤った可能性もある。

明らかなことは、北朝鮮内部の意志決定構造が合理的に作動していないという点だ。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が国連首長を愚弄する気まぐれな決定を下す時、ブレーキをかけることができる人は周囲にいないだろう。中心人物であっても残酷に処刑することを目の当たりにし、側近は恐怖で口を開くこともできないだろう。

常識的に納得できない金第1書記の行動を独裁者に共通して見られる「自我膨張(ego inflation)」と診断する臨床心理学者もいる。何でも思い通りにして生きてきた金第1書記は、挫折、失敗、落伍を経験したことがなく、自らを神と同じ存在と考え、統制がきかないということだ。金第1書記のロシア訪問の突然の取り消しや玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長の処刑などの「恐怖政治」は、北朝鮮内部の不安定性を反映していると言える。内部不安が高まれば、自爆的な行動が出てくる恐れがある。

潘氏は、韓半島の平和と和解に向けて訪朝を推進したが、思いがけず体裁をつぶすことになった。国連の周辺では、「あまりにもナイーブ(純真)だった」という声も出ており残念だ。北朝鮮の国防委員会は20日、国連安保理を「米国の独断と専横によって動く機構」と非難し、自分たちの核攻撃手段が小型化、多種化の段階に入ったと主張した。潘氏を拒絶したことで国際社会での評判がさらに悪くなり、北朝鮮の孤立が深刻化すれば、金第1書記が挑発で局面転換を図る恐れもある。より一層の警戒心を持たなければならない。