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[オピニオン]企業を追い出す国

Posted April. 27, 2015 07:20,   

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大手企業会長のA氏は先日、ベトナム出張の際、国賓並の歓待を受けた。ベトナム当局は、A会長一行の空港での入国審査を事実上免除した。車両が宿舎まで走る間、地元の警察が案内し、信号灯の統制で交通渋滞も無かった。A会長は、「ベトナムの様変わりした姿に驚き、韓国の現状が思い浮かんで複雑な気持ちだった」と知人たちに打ち明けた。

◆社会主義の旗印を公には降ろしていないベトナムが、韓国人企業家を大事にもてなしたのは、現地への投資拡大が雇用や所得を増やし、経済発展に役立つと判断したためだろう。米国のいくつかの州が、現代・起亜(ヒョンデ・キア)車工場の誘致のため、破格の支援をしたのと同様に、先進国でも、「国内外の企業誘致」に熱を上げている。日本東京大学の伊藤元重教授は、「強大な実力の企業を保有しているかどうかが国力を左右するカギとなる時代だ」と強調した。

◆海外の生産施設ではブルーカラーの雇用のみ生まれると思えば、それこそ錯覚だ。三星(サムスン)グループ未来戦略室の崔志成(チェ・ジソン)副会長は、とある会合で、「海外に工場を建設すれば、全体雇用の15%は、管理職のホワイトカラーの雇用だ」と説明した。韓国企業家たちが愛国心が足りず、海外に出ているのでもない。「できれば、私が生まれた国で生産施設を増やしたいと思うが、人件費の差やさまざまな規制や強硬な組合に耐え切れず、国内投資を避けざるを得ない」という訴えを大げさだと受け止めるだろうか。

◆横領やギャンブル容疑で事前拘束令状が請求された東国(トングク)製綱の張世宙(チャン・セジュ)会長などの逸脱は、厳罰しなければならない。しかし、一部の「腐ったリンゴ」のため、企業や企業家を一緒に罵倒するのは正しい正義とは言えない。与野党の政治圏が大手企業を敵対視し、世界でほぼ唯一に法人税引き上げを主張する現状がもどかしい。米コロンビア大学のロバート・マンデル教授は、「偉大な企業家たちは、欧州や米国を強大国に築き、現在は中国を強大国に築き上げている」と語った。韓国が、「企業を呼ぶ国」ではなく、「企業を追い出す国」のほうに突っ走ることになれば、国の存在感が墜落し、次の世代に苦痛を与える憂鬱な未来に見舞われざるを得ない。

権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com