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[オピニオン]チャ・ドゥリの「あまりにも偉大な父」

[オピニオン]チャ・ドゥリの「あまりにも偉大な父」

Posted April. 02, 2015 07:19,   

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父親を抱きしめて涙を流す息子の姿が感動的だった。右手には父親が渡した花束を持ち、左手で父親に抱きつき泣いた。生涯彼についてまわった「車範根(チャ・ボムグン)の息子」というレッテル。サッカー選手として超えたかったが、ついに超えることができなかった壁のような父親を国家代表から退く時に抱きしめたチャ・ドゥリの胸に万感の思いが迫ったのだろう。その息子の背中を叩いて激励する父親もまたいかばかりか。31日、サッカー国家代表チームとニュージーランドの評価試合のハーフタイムで行われたチャ・ドゥリの引退式を見て、世の中のすべての父と息子のことを考えた。

◆「チャ・ドゥリは私たち家族すべての敵だ」。車範根は息子が両腕にタトゥー(刺青)を入れたことを知って家が大騒ぎになったと、2013年10月にある文章で明らかにした。「その日以降、チャ・ドゥリは1ヵ月間、自分の部屋がある2階から降りることができなかった。目の前に現れるなという怒号のため、母親の料理も食べられなかった」。この時、普段から家庭教育に厳しかった父親が息子をかばった。「ベッカムが問題だ。ベッカムが」。英国のサッカー選手、デイビッド・ベッカムのタトゥーをまねたということだ。息子を理解しようとする親父の温かい気持ちだ。

◆父親と息子の関係は、母親と娘の関係のように気楽ではない。父親は息子が自分よりも良くなることを願って強く育てようとするが、息子にはそんな父親に距離感を感じる。古今東西、そのような父子関係が多く、心理学の分析も多数出ている。チャ・ドゥリも、「サッカーが大変上手な父親を持って、少し恨んだこともあった。いくら頑張っても近づくことができず、悔しいこともあった」と胸の内を吐露した。その一方で、「最も尊敬し敬愛するロールモデルが父だ」とも語った

◆ファンたちがチャ・ドゥリに歓呼を送るのは、技量が優れた選手だったからではない。むしろ、実力が若干劣るようでも、それを克服するために誰よりも懸命に走り、明るく笑う前向きな姿に拍手を送った。最近、チャ・ドゥリの人気がどんどん高まり、車範根が「チャ・ドゥリの父親」と呼ばれることに自負心を感じているようだ。

韓起興(ハン・ギフン)論説委員 eligius@donga.com



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