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[社説]李明博回顧録、前政権と現政権が争うべきことか

[社説]李明博回顧録、前政権と現政権が争うべきことか

Posted January. 31, 2015 07:29,   

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李明博(イ・ミョンバク)前大統領の回顧録「大統領の時間」を巡る議論が、李明博政権と朴槿恵(パク・クンへ)政権との攻防へと飛び火している。大統領府は、李前大統領が回顧録の中で、09年、世宗市(セジョンシ)修正案について当時の朴槿恵ハンナラ党代表が反対した理由について、「鄭雲燦(チョン・ウンチャン)待望論」をけん制する狙いがあったと解釈したことに対して「遺憾だ」とコメントした。ただでさえ国が混乱しているのに、政権与党が前政権派と現政権派とに分かれて対立する様子は、国民をいらだたせている。

李前大統領は、「国政の連続性と、次の政府の参考になってもらうために執筆した」と主張しているが、回顧録の内容をみれば、政策中心に記したとは到底受け止められない下りが複数ある。国論を分裂させた世宗市問題だけでも、李前大統領が朴大統領の当時の気持ちを推察して活字化したのは軽率だった。両氏は、07年の大統領選挙の候補選び選挙のときから溜まっていた感情のしこりが少なくないと、国民は受け止めている。米国の元・現職の大統領らが国のために党籍を超えて協力することを見習うどころか、過去のことを巡ってどうこう言い合うのは、国の指導者がすべきことではない。

李前大統領側が、主要4河川事業や資源外交など在任中の主要政策について一方的に自画自賛し、かばっていることも共感できない。特に、資源外交は国会での国政調査を控えているだけに、これを正当化するのは、今後予想される野党の攻勢に立ち向かって先に保護幕を張ったものだという指摘を受けて当然だ。また、南北首脳会談の推進を巡る秘話など、舞台裏で取り交わされた南北間のやり取りを公開したのは、今後の南北関係に負担を与えかねない。中国の当時の温家宝首相との対話内容を紹介したのも同じだ。

李前大統領側は出版の時期についても、2013年5月から準備してきた結果に過ぎないと主張しているが、政治的に微妙な時期に議論を巻き起こす恐れのある本を出すことが、果たして偶然の一致なのか釈然としない。大統領府の遺憾表明について、李前大統領側が「政治的に敏感な内容は外している」と切り返したのも、現政権への「警告」と受け止められる。

大統領の回顧録は、国政の経験や教訓を後世に伝えるという意味では肯定的に評価できる。しかし、外交安保について「朴槿恵政府はよく知らないようだ」と、あたかも入れ知恵をするかのように振舞えば、現政府が回顧録を好意的に受け止めるのは難しいだろう。李明博と朴槿恵両政権が、政権再創出に成功したにも関わらず、相互のコミュニケーションはないがしろにしてきたことが改めて浮き彫りになった。国政の連続性のためなら、本にして公開するより、「対話」をすればよかったはずだ。