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[オピニオン]「マウンティング女子」の育児法

[オピニオン]「マウンティング女子」の育児法

Posted January. 31, 2015 07:28,   

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子どもがつま先立ちをしてエレベーターのボタンを押した。後ろに立っていた母親が言った。「負けちゃった。ママが押したかったのに」。「閉」ボタンも子どもが押した。「残念。ママがまた負けちゃった」。

宅配ドライバーが手を伸ばしてエレベーターの番号を押す瞬間、子どもが泣き出した。ドライバーも子どもの望みどおり「負けて」やらなければならなかったのだ。

子どもに喜んで負ける母親を目にすると、日本のドラマ「ファースト・クラス」を思い出す。ファッション界で働く女性たちの暗闘を露骨に描いたこのドラマのコンセプトは、「マウンティング女子」だ。「マウンティング(mounting)」とは、動物が優位性を誇示するために相手に馬乗りになる行動を意味する。

ドラマのマウンティング女子たちは、服装や美貌、バック、学歴などで互いを比較し、虎視耽々ライバルの上に立とうとする。

現実の女性の多くはこのような行動を敬遠する。しかし、一部は自覚せずにマウンティング女子の姿を現わす時がある。エレベーターで皆に勝たなければならない子どもの母親がそうだ。

彼女自らが負けることができない性格であるため、子どもも負けないことを望むのだ。母親は率先して負けることで、自分の最も大切な価値を子どもに伝えようとする。このため、「私の上にマウンティングする」ことこそ、彼女が子どもにしてあげられる最高の愛情表現というわけだ。

エーリッヒ・フロムは「愛の技術」で、母親の献身的な愛と父親の条件つきの愛をバランスよく受けて成長した人は、他人とも愛をうまく交わす健全な大人になると指摘した。

エレベーターの母親の献身は、健全な大人になるための育児方法とは距離がある。母親にマウンティングして育った子どもは、人より優位に立たなくては自尊心を得ることができない未成熟な大人に成長する可能性が高い。

マウンティング女子傾向の母親の心配に反して、肯定的な自我は多くの失敗を経験してはじめて形成される。「マウンティング」のような勝利の快感だけを味わわせたからといって自信を得るわけでも人生が順調になるわけでもない。

「世の中はあなたに良く接する」という信頼を植えつけることほど、子どもを危険に追い込む教育はない。大人には母親や父親のように良い人だけがいるわけではない。子どもに勝つ喜びを味わわせる前に、母親自ら生きてきた道を振り返る必要がある。勝利だけで果たして幸せだったのか。