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[社説]マンション警備員らを崖っぷちに追い込んだ最低賃金制の逆説

[社説]マンション警備員らを崖っぷちに追い込んだ最低賃金制の逆説

Posted November. 26, 2014 03:57,   

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来年から、マンションの警備員らにも最低賃金が100%適用され、給与が19%ほど値上がりする。2年前に、警備員らの劣悪な雇用条件が問題になると、政府が法を見直し、最低賃金の90%だった警備員の賃金を、来年から100%に値上げすることを決めたのだ。しかし、多くのマンションでは、賃上げどころか、大量解雇を予告しており、警備員らはかえって崖っぷちに追い込まれる羽目になっている。

雇用労働部は遅れて、事態の深刻性に気付き、一昨日、「警備施設管理従事者の労働条件の改善をめぐる対策」を発表した。今年で終わる予定だった60歳以上の高齢者雇用支援金制度を、17年までに延長し、1人当たり月6万ウォンを政府が支援するという。しかし、雇用部がまとめた来年の予算は、23億ウォンほどであり、3000人余りにしか支援できない。全国25万人の警備労働者のうち、解雇が予想される60代以上の労働者だけでも、5万人を超えている。

警備員の焼身死亡事件が起きたソウル江南区狎鷗亭洞(カンナムグ・アブクジョンドン)の新現代(シンヒョンデ)アパートは、警備員と清掃スタッフ106人全員に対して、解雇を通知した。このマンションは今月、入居者役員会議で、外注業者を別のところに変えることを決め、焼身でマンションのイメージを傷つけたことへの報復性措置ではないかという声まで出ている。ほかの複数のマンションも、警備員を半分に減らしたり、解雇する動きを見せている。マンション入居者らが、警備員の賃上げによるマンション管理費の上昇を懸念して、警備員らを解雇しているのだ。政府は、来年第1四半期にマンションなどへの集中的な点検を行い、警備・施設管理労働者らが不当な労働条件の侵害を受けているかどうかを確認する計画だとしているが、どれほど実効性があるか疑わしい。

最近、マンション警備員への非人間的待遇が、社会的問題となっている。新現代マンションの警備員は、7日、入居者の侮辱的言動にショックを受けて、焼身自殺を図り死亡した。10日は、大邱(テグ)で、駐車場管理がきちんとできていないことを理由に、警備労働者の顔につばを吐き、暴行を加える出来事も起きた。来年は、最低賃金が100%適用されれば、100世帯が1人の警備員を雇用する場合、1世帯当たりの管理費が2000〜3000ウォン値上がりするという。法と政府の前に、隣人と一緒に生きていくという暖かい気持ちが求められる。