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[オピニオン]驚くべき炭素

Posted November. 26, 2014 03:57,   

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炭素兄弟が暮らしていた。ある日、空から凄まじい声が聞こえてきた。「お前たちの空気の生活は終わった。土に入って生きろ」。弟は逃げ、兄は土の中に入った。雷が鳴って暴風雨が襲った。時間がどれほど経っただろうか。地上に逃げた弟がある日目を開けた。彼は真っ黒な炭になっていた。土の中の圧力と熱気に耐えた兄は、きらびやかなダイヤモンドになっていた。チョン・チェボンのエッセイ「炭とダイヤモンド」に出てくる話だ。

◆炭とダイヤモンドは全く異なる物質のようだが、純粋な炭素で構成されているという点では同じだ。原子が結合する形態が違うだけだ。地球上で生命の根源は炭素だ。遺伝情報が入ったDNAは炭素化合物だ。光合成、呼吸といった生命の現象は炭素で作られた有機物によってなされる。太陽エネルギーも炭素を触媒にする核融合反応で形成される。18世紀以降、産業文明も石炭と石油に含まれる炭素が可能にした。

◆炭素は気候変動の主犯という理由で現代社会で完全に罵倒される元素になった。李明博(イ・ミョンバク)政府は、「低炭素グリーン成長」というスローガンの下、炭素排出の削減を経済政策方向に設定した。温室効果ガスの排出を減らすことは重要だ。しかし、炭素の立場で見るなら、悔しいことこの上ない。炭素を利用していい暮らしをしたのは人間だったのに、今になって炭素を人間生存を脅かす悪として扱う。西江(ソガン)大学化学科の李悳煥(イ・ドクファン)教授は、炭素の価値を再発見しようと炭素文化院を作った。

◆暁星(ヒョソン)グループと全羅北道(チョンラプクト)は、創造経済革新センターが中心となって構築する「炭素クラスター」に2020年までに1兆2450億ウォンを投資し、炭素を未来産業に育てる計画だ。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が発足式に出席し、炭素繊維で作ったギターを演奏した。炭素繊維は重さは鉄の4分の1だが、強度は10倍、弾性は7倍で、鉄に代わる未来の核心素材とされる。李明博政府が捨て子のように扱った炭素を朴槿恵政府が養育するようなものだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員shchung@donga.com