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板橋大事故、涙の告別式

Posted October. 21, 2014 04:07,   

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黒い喪服が地面について雨に濡れた。「お父さん、いつ起きるの?」と尋ねる孫娘の顔を祖父はしばらく言葉なく見つめた。子どもは目をまるくして、母親と祖父の赤くなった顔をかわるがわる見た。父親を送る最後。子どもたちはまだ「父の死」が分からなかった。

20日午前7時頃、京畿道龍仁市(キョンギド・ヨンインシ)の江南(カンナム)病院葬儀場の前。6才の娘、5才の息子、3才の娘は、父親ユンさん(35)を空に送った。ユンさんの出棺を、家族や友人、職場の同僚など50人余りが見守った。ユンさんの棺が現れると、親戚に支えられ、息子の遺影の後を歩いていたユンさんの母親は、一歩踏み出しては泣いて何度も立ち止まった。すすり泣く声だけが聞こえ、誰一人話をする人はいなかった。静寂を破ったのは、一人で子どもを育てることになるユンさんの妻。「あなたがいなければ、どうやって生きていけばいいの」と叫んだ。暗い空から雨が激しく降った。

同日午前10時頃、京畿道城南市(ソンナムシ)の城南中央病院の前では、チャンさん(39・女)の告別式が執り行われた。チャンさんの棺が霊柩車に運ばれる時、母親は右手で左胸を叩いた。「ああ〜」と叫んだが、言葉は出てこなかった。霊柩車の前に立った父親は、「かわいそうに、どうして…」と悔しがった。

1時間後、同じ場所でキムさん(27・女)の告別式も行われた。4人兄弟姉妹の長女だったキムさんの遺影の後ろについた弟たちは言葉がなかった。「姉を最後に見送るときは、絶対に泣くのをやめよう」と家族で約束したというキムさんの弟は、言葉なく笑っているキムさんの写真を持っていた。家族や友人10人余り、誰も声を出さなかった。キムさんの母親も、娘の棺を言葉なく眺め、夫と共に霊柩車に乗った。

19日(1人)に続き、20日、ソウル・京畿道地域の4ヵ所の病院の葬儀場で、ユンさんなど犠牲者6人の告別式が執り行われた。そのほかの犠牲者9人の葬儀は、事故対策本部と遺族協議体が20日、補償について合意したことで、21日にすべて行われる予定だ。大事故発生から5日で葬儀が終わるのは異例のことだ。事故発生翌日の18日、遺族協議体のハン・ジェチャン幹事(41)は、「この事故を国家的争議にしたくない」とし、「補償に関係なく葬儀を行う」と明らかにしていた。