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米、シリア内のイスラム国拠点を空爆

Posted September. 24, 2014 09:39,   

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地中海の東側のシリア国土の上に、朝日が上る直前の23日午前4時半(韓国時間では午前9時半)。紅海に駐留している米戦艦(USS)・アーレイバーク級ミサイル駆逐艦から、トマホーク巡航ミサイル数発が発射された。米中部軍司令部の空爆命令を受け、地中海に配置されたミサイル駆逐艦・コール号も、トマホーク巡航ミサイルを搭載し、シリア方向に向け狙いを定めた。

数分後、シリア北部の都市・ラッカの上空で、赤い閃光がひらめき始めた。バラク・オバマ米大統領が、総司令官を務めている国連軍が、イスラム・スンニ派武装勢力「イスラム国(IS)」のシリア本拠地への空爆に踏み切った瞬間だった。

イラク南東側の湾岸に停泊していたジョージWHブッシュ空母戦闘群(CVN−77)からは、F−16、F−18などの戦闘機と、B−1爆撃機、無人機が一斉に発進した。周辺のアラブ諸国の空軍基地から一斉に飛び立った米空軍爆撃機と複数の戦闘機も加わった。ステルス機能が優れて、IS防空網を避けることのできるF−22ラプター戦闘機も、初の実戦に参加したという。「プレデター」を始め、無人機も空爆に参加した。

約90分間行われた連合軍の初のシリアへの空爆は、ラッカ地域周辺の20あまりの目標地点を狙った。ラッカのほか、シリアの3つの地域が空爆の対象に含まれた。ISの指揮本部や兵士らの宿営地はもとより、武器倉庫や燃料貯蔵所、訓練所など、主要な軍事施設の大半が破壊された。CNNは、「同日の空爆で、数十人のIS兵士らが死亡するなど、相当な被害を受けた」と報じた。米軍の初の空爆に続き、同日の1日間、何度も空爆が続けられた。

同日の空爆は、米国だけでなく、サウジアラビアやヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、カタールのアラブ5ヶ国が一緒に参加した、名実共の連合作戦で行われた。UAEのアルダプラ基地、バーレーンのイサ基地、カタールのアルウデイド空軍基地などからは、米空軍戦闘機や爆撃機が離陸した。これらの国々は、軍基地を提供し、米軍戦闘機や爆撃機の自国領空の利用も許可した。

これに先立って、米国のジョン・ケリー国務長官は、サウジアラビアのジッダを訪問し、サウジとバーレーン、エジプト、イラク、ヨルダン、クウェート、レバノン、オマーン、カタール、UAEなど、ISの脅威に直面しているアラブ10ヶ国から、全面的かつ広範囲な支援約束を取り付けた状態だった。

先日までは、「主権侵害」と主張していたシリアのアルアサド政府は、米国やアラブ諸国が、電光石火のごとに繰り広げた自国内での空爆に、これといった抗議すらできなかった。シリア政府は、米政府が空爆の事実を事前に知らせてきたことに満足しなければならなかった。シリア国営テレビは、「米側は、国連駐在のシリア大使に、ラッカ地域のテロ団体を狙って、空爆に踏み切ることを伝えてきた」と明らかにした外交部の声明を、そのまま報じた。

オバマ大統領が、予想より早く、シリアへの空爆に踏み切ったのは、10日、国民向け声明を通じて、シリア空爆を予告した状況で、その時期を遅らせることになれば、IS勢力に逃れるチャンスのみ与えかねないという指摘を考慮したものと見られる。11月の中間選挙を控え、これまで、主な国際的出来事に過度に弱く対応しているのではないか、という批判を払拭するための政治的狙いも働いた。

ワシントンの外交筋は、オバマ大統領が国連総会が開かれている週明けに、空爆の時期を決めたのについて、「米軍単独ではなく、国連軍のレベルでの作戦を主張してきたオバマ大統領が、国際社会に、IS壊滅への参加を呼びかけるきっかけになるだろう」と見込んだ。

同日の空爆拡大で、米国の中東政策にも変化は避けられない見通しだ。イラクやアフガニスタン戦争で、段階的に撤退してきたオバマ政府が、IS攻勢を食い止めるために、イラクやシリアに再び介入する事実上の「Uターン」を選び、再び、中東戦の泥沼に巻き込まれるのではないか、という懸念も出ている。