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ワシントンで読む「韓日関係を見る米国の本音」

ワシントンで読む「韓日関係を見る米国の本音」

Posted August. 08, 2014 03:32,   

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先月末、韓米経済研究所(KEI)主管で開催された韓米同盟関係を診断するセミナーに参加するため、米国ワシントンを訪問した。中国の台頭、安倍首相の歴史認識、環太平洋経済経済連携協定(TPP)、北朝鮮情勢などが主要議題だった。プライベートな場面で、米側関係者たちが最も関心を示したのは、最近の韓日関係だった。関心のレベルを超えて、「憂慮の声」と言った方が正確が表現だろう。米側も安倍首相の誤った歴史認識に、内心では相当の憂慮をしていることは間違いなかった。

安倍首相の主張する「戦後レジームからの脱却」とか、「自虐史観から脱却」と言うのは、実は米国を狙ったものだと言う。裏返せば、太平洋戦争で米国に負けた日本が反省どころか、むしろ憤慨していることの表れだと言う。安倍首相の歴史認識は、戦争を終息させるためのサンフランシスコ講和条約と東京戦犯裁判の結果を否定するものでもある。

だからと言って、日本が1930年代の軍国主義に立ち返ると考える人はいなかった。戦後70年間、日本は民主主義国家の優等生に生まれ変わり、米国と人類の普遍的価値観を共有してきたし、国際平和にも多くの貢献をしてきたからだ。過半数の日本国民が安倍首相の歴史観に同意していないことも、米国は念頭に入れていた。

米国の専門家らは、より大きな視点から日本を見るべきだと言った。ある特定政権だけを注視しないで、一歩下がって日本全体を眺望しなければならないと話だった。筆者は、米国が日本の歴史認識と諸般の懸案問題とを分離して対応しているという印象を受けたのだが、そこにはいくつかの理由がある。

まず、米国は地理的に遠く離れている強国として、中国や韓国のように日本の支配を経験していない。我々と肌で感じることが違うのは仕方ない。

戦後日本が自ら軍国主義を清算できずに終わった責任は、実は米国にもある。1951年のサンフランシスコ講和条約が結ばれるときは、すでに韓国戦争が勃発していた。米国はスターリンの国際共産主義の膨張を阻止しようと韓国戦に参戦した。韓半島で戦争を遂行する上で、日本の協調は不可欠だった。日本が共産化することへの憂慮も大きかったので、米国は日本を懲罰するよりは、早急な安定化に力を入れた。これは、日本にとっては歴史的幸運だと言える。

第二に、同盟国としての日本の役割と重要性は、一段と強調されている。背景には中国の台頭がある。米国の「アジア回帰」(Pivot to Asia)政策や「再調整」(Rebalancing)政策は、台頭する中国を意識し、アジアにおける米国の利益を守るためのものであることは間違いない。米国のアジア回帰政策は、世界経済に占めるアジアのシェアが飛躍的に拡大されたからだ。

第三、米国の北東アジア政策は米日同盟と韓米同盟を拠り所とする強力な軍事的抑止力を基盤としている。在日米軍基地はアジア太平洋地域で米国が軍事力を発揮するのに必須不可欠の要素だ。在韓米軍の作戦能力も、在日米軍が有事の後方支援がどれだけ円満に行われるかにかかっている。

第四、米国は、日本の増強された防衛力が、在日米軍の作戦半径を拡大するのに役立つと考えている。米国の継続する国防予算の縮小は、同盟国から不信を招きかえない状況に流れている。日本が集団的自衛権を行使できるようにし、さらには防衛力の増大と沖縄米軍基地の域内移転を強く進めている安倍首相を、米国が拒む理由はない。安部首相は、自身の歴史認識に対する米国の憂慮を相殺するのに十分な具体的措置を果敢に実行している。米国は、かつての日本の民主党政権が沖縄基地移転に関する既存の合意を履行しなかったため、ずいぶんと手を焼いたことを覚えている。そういう米国にとって、韓日関係が悪化の一途を辿るのは北東アジア戦略に大きな重荷となるだろう。

中国が最近、かつてなかった誠意を示しながら慰安婦資料など抗日関連の歴史問題で韓国と連携しているのは、嬉しいことではあるが、同時に憂慮も覚える。高句麗(コグリョ)を自分たちの歴史に組み込もうとする中国の東北工程は、より深刻な歴史歪曲だからだ。漂流している韓日関係のために、今年7月初めに中国の習近平国家主席の韓国訪問が米国と日本では、実際よりも拡大解釈されている。韓国が中国の軌道に引き込まれているという誤解が広がっていることを否認できない状況だ。

今回のセミナーに参加した米国の専門家らは、韓中関係の発展を歓迎すると言ったが、それが本音なのかは見守る必要がある。米国は、これまで韓国がTPP交渉参加に消極的だったことについて、韓国が中国を意識したからだと誤解(?)している。米国が日本を引き込んでTPPを積極的に推進しているのは、経済面よりは政治安保面の考慮が優先していたのが事実だ。

韓中関係の発展と、既存の韓米同盟をうまく調和させるためにも、韓日関係の改善は急がねばならないと見られる。韓日関係が悪化した原因がどこにあるのか、誰よりもよく知っている米国の専門家は、皆、韓日首脳による会談が近く実現することを心待ちにしている。彼らが日本びいきだからではないことが分かったのは、今回のワシントン訪問の成果と言えば成果だった。