Go to contents

[オピニオン]創造力教育の誤解

Posted June. 23, 2014 03:24,   

한국어

小説「ハリーポッター」の著者ジョアン・ローリング氏は、1990年、田舎駅の電車の中で「ハリーポッター」を思いついた。列車が故障して4時間止まっている間に突然浮んだアイディアだ。ローリング氏は未婚の母から1兆ウォンの資産家に変身した。詩人の趙炳華(チョ・ビョンファ)氏は、「高い空に現実の鋭敏なアンテナを立てておけば、稲妻のように詩想が浮んでくる」と言った。芸術家や企業家だけでなく政治家までも「ひらめき」、つまり創造力に渇望する時代だ。現代社会では創造力は金と名誉に直結する。

◆芸術家は、「作品のアイディアは空から突然落ちるように訪れる」と言う。長く考えたからといって得られるものではないということだ。ローリング氏は、列車の出発を待つ退屈な時間に「ハリーポッター」を生み出した。このように創造力は、休んだり頭を空っぽにした後に生まれることが多い。精神分析学者のカール・ユングはこれについて科学的な分析を行った。

◆ユングは人間の無意識に注目した。そして、「意識と対比される無意識は、個人の経験が蓄積した倉庫のようなもの」と定義した。無意識は普段は意識の妨害によって潜んでいるが、心が緩んで安らかな状態になると、創造力の源泉になるという理論だ。ある瞬間「ふと」または「突然」アイディアが浮ぶ理由は、無意識が力を発揮したからだ。ユングは、「無意識は創造力の泉のようなもの」と定義した。

◆最近の韓国教育のテーマは、創意・人性教育だ。朴槿恵(パク・クンヘ)政府はこのために「幸福教育」を掲げた。セウォル号惨事後、人性教育に対する要求も高まっている。しかし、子どもたちを学習の負担から解放したからといって創造力が自ずとで生まれるわけではない。最近、教育運動家が軽く考えていることがある。必要な知識を十分に体得し、現実に対する悩みと思考を繰り返した状態で精神を休める時、創造力が生まれるという事実だ。基本と準備のない創造力は存在しない。外見だけに捉われた無謀な教育実験で創造力だけでなく基本まで捨てることを警戒しなければならない。

洪賛植(ホン・チャンシク)首席論説委員chansik@donga.com