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「犠牲者に捧げたい」 黄色いリボンつけたジェフ・ベック

「犠牲者に捧げたい」 黄色いリボンつけたジェフ・ベック

Posted April. 29, 2014 05:06,   

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人の心を癒す音楽というものを改めて確認できたステージだった。

27日午後6時6分、ソウル松坡区(ソンパク)オリンピック路のオリンピックホールでのステージ。英国のギタリスト、ジェフ・ベック(70)が黒いスーツに白いワイシャツを着て現れた。袖なしのカーディガンに縦じまのシャツをひっかけ、華やかなムードを漂わせた2010年3月の初来韓の時とは違ったムードだった。1曲目の「ローディッド」から、速射砲のような右手親指のピッキングで激しいヘヴィメタルを演奏した彼は、20代のギターリストのように熱かった。2500人の観客が帰ってきた「ギターの達人」に送った熱狂は、しばらくして大型スクリーンにベックの上半身がクローズアップされると、低い感嘆に変わった。彼の上着の左襟に黄色いリボンがつけられていたのだ。公演を主催したプライベートカーブ関係者は、「入国前にニュースでセウォル号の事故を知ったベックが『黄色いリボンをつけたい』と提案した」と伝えた。

ベックは、ドラム、ベース、サイドギターの4人編成で4曲を連続で演奏した後、マイクの前に立った。つたない韓国語で「ありがとう」、「愛してる」と言わず、英語で静かに「これから演奏する曲をフェリー(セウォル号)の犠牲者に捧げたい。行方不明者が無事に帰ってきてほしい。これは希望の歌だ」と言い、「ピープル・ゲット・レディ」を演奏した。

この曲は、米国の伝説的なシンガーソングライター、カーティス・メイフィールド(1942〜1999)が作った曲を、所属するインプレッションズ名義で1965年に発表した曲で、ベックが1985年に有名なボーカリスト、ロッド・スチュワートとリメイクしてレコードに入れた。「みんな、準備できているか…望みなき罪人には居場所すら与えられないから」という歌詞に、キリスト教的来世観が込められている。「天国へ行く列車に乗る準備ができているか」という歌詞が最近の状況に合っているわけではないが、人災を暗示するような「ピープル・ゲット・レディ」という曲名、オクターブが上がっては下り、静かにむせび泣くような演奏は、観客を涙させるのに十分だった。ベックははやいテンポで、曲の合間にジミ・ヘンドリックス(1942〜1970)の「リトルウイング」、アイルランド民謡の旋律に歌詞をつけた悲壮感漂う曲「ダニーボーイ」も演奏し、初来韓の時より静かな雰囲気だった。サイドギターが曲の導入にアリランの旋律を入れた場面も見られた。

ベックの音符は、ほかのギタリストと違った。ベックは1時間40分で21曲を演奏し、専売特許である魔術のような指使いを十分に披露した。片手でトレモロ・アームとボリュームを同時に調節した。それと同時に瞬間的に高い倍音まで生み出す右手のピッキングは、見ていても信じられないほどのテクニックだった。

ベックは1960、70年代にジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)、エリック・クラプトンと共に世界3大ギタリストに選ばれた。最近も変わらぬ演奏力で活発な活動をしている。「イェミン」、「エジプシャン」、「ザ・コーラル」などの未公開の新曲は、アラブ風の旋律とベック特有の感性的な演奏の調和がすぐれた曲だった。