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米国や日本は賃上げに踏み切るのに、韓国は何をしているのか?

米国や日本は賃上げに踏み切るのに、韓国は何をしているのか?

Posted April. 16, 2014 03:02,   

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「企業各社の貪欲のせいだ」

「二極化の原因は何か」という質問への現職長官の言葉だ。朴槿恵(パク・グンへ)政権の長官の発言としては、やや戸惑わざるを得ない発言だが、根拠の無い言葉でもない。韓国金融研究院も最近、報告書の中で、「企業に集中している所得配分が、低成長の原因となっている」と指摘している。

企業各社の現金資産は、4ヶ月連続して500兆ウォンを超えている。企業の貯蓄率も、昨年は21.5%と、経済協力開発機構(OECD)加盟国のなかでは、日本に次いで高い。一方、家計は借金が1000兆ウォンであり、家計貯蓄率は4%に過ぎない。

企業は富んでいるのに、家計が貧しいのには理由がある。05〜10年の企業所得は19.1倍も急増したが、家計所得は1.6倍増に止まった。国民所得のうち、労働者に回る分の「労働所得分配率」は、1997年の75.8%から、11年は68.2%へと下がっている。労働者らの実質賃金は、08年以降6年間据え置きの状態だ。このような「賃金無しの成長」が、家計所得の低迷を生み、内需回復を遮っているという。

不確実な環境やグローバル競争に備えようとする企業各社の悩みは、理解できる。しかし、企業が現金を積み立てばかりしていれば、結局ブーメランとなって、企業業績の悪化として回ってくることになる。金融研究院は、「企業各社がさらに賃上げに踏み切ったり、配当ができるような政策を展開しなければ、日本流の長期不況に陥りかねない」と警告している。

米国や英国、日本も状況は似ている。これらの国々は、内需活性化対策の一つとして、賃上げを選んだ。米国は、連邦最低賃金を、現在の1時間当たり7.25ドルから、10.1ドルへと40%の引き上げる法案を、議会に提出した。英国は、最大手使用団体とも言える英国産業連盟(CBI)までが乗り出し、「経済回復の実りを、全ての市民が享受すべきだ」とし、「労働者らにもっと多くの賃金や機会を提供すべきだ」と呼びかけた。1980年代のレーガン時代やサッチャー時代、「賃上げに踏み切れば、雇用は減るだろう」という両国が、今は、逆の姿勢をとっているのだ。

日本は、さらに積極的に取り組んでいる。甘利明経済財政担当大臣は、「企業は利益を上げているのに、賃金や下請メーカーの代金を引き上げなければ、『恥ずかしい企業』というレッテルが貼られることになるだろう」と働きかけた。トヨタやホンダ、東芝、日立などの大手企業は、次々と賃上げに踏み切っている。英紙フィナンシャルタイムズは、「賃上げを通じて、市場に資金が供給されれば、その多くが、消費を通じて再び企業の金庫に戻ることになるだろう」と肩を持った。

韓国政府は、規制改革を通じて企業への投資を増やすことで、雇用創出を図っている。正しい政策だ。しかし、家計がこれほどの瀕死状態では、いくら規制を緩和しても、内需はなかなか蘇れない。経済状況がかつてとは変わっており、わが韓国政府も規制改革のほか、もっと多様な内需活性化政策を展開しなければならない。

三星(サムスン)の創業主の李秉迵(イ・ビョンチョル)会長は、事業を持って社会に貢献するという「事業報国」を経営哲学として打ち出し、現代(ヒョンデ)の鄭周永(チョン・ジュヨン)会長は、「国が豊かになってこそ、我々も豊かになれる」と主張した。今、大手企業各社は海外向け売り上げが増えたからといって、国内経済を「知らんぷり」してもよいのか。ドイツは、国富の64.5%を創出する大手企業が、雇用も40%を担っている。韓国の大手企業は、国富の62.3%を創出しているが、雇用はわずか13.2%だけを生み出している。

必ずしも、賃上げでなくてもよい。企業各社は金の積み立てばかりせず、投資であれ、下請け企業への支援であり、若者の雇用であれ、経済活性化に向け、より積極的に乗り出すべきだ。今しばらくは費用のように感じられるだろうが、企業の長期成長には役立つことになるだろう。企業は企業に友好な環境作りのために努力しており、国民も呼応している。今度は、企業各社が答える番だ。