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[オピニオン]「ストーカー爺」

Posted April. 09, 2014 04:41,   

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スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」で、主人公のギャツビーは、初恋のデイジーへのひたむきな気持ちを捨てることができない。自分が戦場に行っている間、金持ちの息子と結婚したかつての恋人を取り戻すため、なりふり構わず財産をかき集め、デイジーの自宅の見えるところに豪邸を購入する。愛のために全てのことを捧げるギャツビーの人生は、ロマンや純粋の結晶体だ。

◆「十回斧を入れて倒れぬ木無し」と堅く信じているミス・コン。彼女の前に、一目ぼれの男が現れる。ひょんなことから、男のダイアリーを手にした彼女は、彼の行く先々に、欠かさず顔を出す。偶然の出会いではなく、狙いを定めてアプローチしたことがばれてしまったが、紆余曲折の末、いよいよ愛を手にする。かわいいイメージの女優・チャン・ナラが、「かわいいストーカー」を演じた「オ!ハッピーデー」(03年公開)のあらすじだ。

◆現実は、小説や映画とは違う。「嫌いだ」という人に向けた常軌を逸した執着は、鳥肌脱ストーキング犯罪につながるケースが多い。先日、自分の求愛を断った女子大生に、「顔を塩酸で溶かしてやる」などのおぞましい脅迫の書かれたカカオトークや携帯メールを、2ヵ月間で10万件も送った大学生が拘束された。ストーキングは、若者だけの専有物ではない。最近、日本では85歳の男性が、「会ってくれなければ殺してやる」と、79歳の女性を苦しめ、警察に逮捕された。「ストーカー爺」は、5年前、女性が病院に入院した際、同じ病室にいた女性患者の夫だった。自分ひとりだけの好感や愛が、おぞましい執着に、親切な紳士が恐怖の加害者に変わるのだ。

◆日本警視庁によると、昨年、日本で起きたストーカー関連犯罪2万1089件のうち、9.1%を60代以上が起こした。高齢者の犯罪について研究した作家・藤原智美氏は、高齢者の暴力性について、「孤独や疎外、孤立感が招いた叫びだ」と解釈している。高齢化時代を迎えた韓国社会でも、「対岸の火事」ではない。老年になっても、人間の欲望はなかなか減らないことがもの悲しい。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com