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[オピニオン]ストーリーのあるホテル

Posted December. 23, 2013 03:09,   

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最近、ソウル中区小公洞(チュング・ソゴンドン)のロッテホテルに「プーシキンプラザ」が披露された。旧「コスモロジープラザ」が、ロシアの大文豪・アレクサンドル・プーシキンの銅像を建て、その名を「プーシキンプラザ」に変えたのだ。左手には本を、右手にはペンを手にしているプーシキンの銅像は、ロシア作家同盟が高麗(コリョ)大学にプレゼントしたものであり、ロッテホテルが場所を提供した。ロッテホテルは、初の海外進出として10年、モスクワにロッテホテルモスクワを運営し、ロシアとの縁を作った。先月、韓国を訪問したロシアのウラジミール・プーチン大統領も、プーシキン銅像の除幕式に出席した。

◆トルコ・イスタンブールのペラパレスホテルは、推理小説化・アガサ・クリスティが泊まったことで有名だ。クリスティは、このホテルの411号で、「オリエント特急殺人」を書いた。411号は今も、クリスティが書いた当時の姿で保存されている。明るくて重厚なこのホテルは、クリスティがオリエント特急列車の終点だったイスタンブールのシルケ地域に到着した後、このホテルに足を向ける姿を想像させる。

◆オーストリア・ウィーンのインペリアルホテルは、ワグナーが気に入っていたホテルだ。ワグナーは1875年、このホテルに2ヵ月間滞在し、「タンホイザー」や「ローエングリン」の公演の準備をした。宿泊客は、昼夜を問わず聞こえてくるピアノの音に腹を立てたが、後で、ピアノを弾く人がワグナーだということを聞き、かえってピアノの音を待っていたという。このホテルには、ワグナーが泊まったことを記念する名札が張られている。

◆プーシキンの詩・「日々のいのちの営みがときにあなたを欺いたとて」は、多くの人たちから愛されている。「日々のいのちの営みがときにあなたを欺いたとて、悲しみをまたいきどおりを抱いてはいけない/悲しい日にはこころをおだやかにたもちなさい/きっとふたたびよろこびの日がおとずれるから/こころはいつもゆくすえのなかに生きる/いまあるものはすずろにさびしい思いを呼ぶ/

ひとの世のなべてのものはつかのまに流れ去る。流れ去るものはやがてなつかしいものとなる(後略)」。「プーシキンプラザ」のプーシキン銅像の前には、彼を愛するロシア人らの花束が後を絶たない。ジョージ・バーナード・ショーは、「ホテルの大きな利益は、家庭生活の避難所になることだ」とも言った。ホテルには「日常」を忘れさせる何かがある。ストーリーがあるのなら、尚さらのことだ。

ソン・ヒョリム経済部記者 aryssong@donga.com