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張成沢粛清がもたらす北朝鮮の後退

Posted December. 18, 2013 03:23,   

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北朝鮮の国家安全保衛部は12日、特別軍事裁判を開いて張成沢(チャン・ソンテク)前国防委員会副委員長に死刑を宣告し、即時執行した。朝鮮中央通信は、張氏が「かなり以前から最も狡猾で陰湿で凶悪な手段と方法を動員し、悪辣な策動をしてきた天下無二の万古逆賊売国奴だ」と述べた。金正恩(キム・ジョンウン)政権はなぜこのように張氏を憎んだのだろうか。平壌(ピョンヤン)はなぜ北朝鮮人民の心に張氏を永遠に逆賊として残る方法で、名誉を徹底的に踏みにじったのだろうか。

張氏は、国防委副委員長、労働党中央行政部長だけでなく、金第1書記の義理の叔父だ。2011年12月17日の金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去後、若い君主を補佐してきた「託孤重臣」であり「顧命大臣」だった。金第1書記が激怒しない以上、張氏の運命がこのようになりはしなかっただろう。

今回の粛清の原因は単純ではない。北朝鮮が公開した判決文を見ると、張氏は自分がたずさわった対中経済協力と羅先(ナソン)特区開発などで金第1書記に「私は眼中にない」と感じさせた。これは権力が最高指導者に集中する北朝鮮の慣例を破るものだった。張氏のこのような行為は、平壌が拒否してきた「中国式改革開放の道」に北朝鮮を向わせることであり、金氏一家が一貫して推進してきた閉鎖と先軍モデルを修正する試みだった。

「張成沢一味」は、北朝鮮で対外経済協力を推進してきた主力軍だ。この2年間、張氏は北朝鮮の特区建設を主導しただけでなく、北朝鮮官僚の中国研修、アジア諸国からの投資誘致などを推進した。人々はこれを見て北朝鮮経済が肯定的に変化すると予想した。しかし「ポスト張成沢」時代を迎えた北朝鮮で、古い経済システムと落ち込んだ対外経済活動がどうなるか予想できなくなった。

今回の件で重要なことは、これまで張氏が進めてきた対中経済協力に平壌が強い疑念を持っていることが明らかになったことだ。判決文は、張氏が石炭など貴重な地下資源を安く売り、この過程で部下がブローカーにだまされて多くの借金をし、これを解決するために羅先特区の土地を50年期限で外国に売ったと主張した。張氏が北朝鮮経済を立て直すために、海外資金を調達したのだが、判決文では主要な罪名となった。

張氏の粛清で北朝鮮の対中経済開放も萎縮するだろう。来年に中朝貿易の規模が減少することは火を見るよりも明らかだ。北朝鮮の地下資源と中国の現金・商品を交換できなければ、北朝鮮経済は苦しい状況に置かれるだろう。

張氏は2011年8月、大規模な代表団を連れて北京を訪れた。中国は、最高指導者ではない張氏を慣例に反して釣魚台に宿泊させた。また、胡錦濤国家主席と温家宝首相が張氏を迎えた。張氏が対中関係を管理している時、中国は羅先特区の3つの埠頭の建設権と50年間の使用権を取得した。ブローカーに詐欺にあって借金をしようが、借金の返済のために土地を売ろうが、中国は張氏の共犯になってしまった。

今年2月の北朝鮮の3回目の核実験は、習近平政府の大きな不満を招いた。張氏の粛清によって北朝鮮が改革に対する外部の最後の期待まで破れば、北京はやむを得ず、北朝鮮政策を再評価することになるだろう。金第1書記は、張氏粛清を通じて表向きには自分の権力を堅固にした。しかし、長期的には否定的な効果をもたらすだろう。今後、北朝鮮情勢がどうなるか注視しなければならない。