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張成沢氏側近の公開処刑、北朝鮮軍傍受で把握

張成沢氏側近の公開処刑、北朝鮮軍傍受で把握

Posted December. 05, 2013 03:22,   

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北朝鮮の張成沢(チャン・ソンテク)国防副委員長失脚の根拠として提示された2人の側近が公開処刑された情報を、当局は如何にして把握したのだろうか。北朝鮮の公式発表はなかったが、安保当局はヒューミント(人的情報)とシギント(信号情報)を有機的に組み合わせて関連情報を把握した。

北朝鮮で公開処刑は二重の性格を持っている。独裁政権を維持する恐怖政治の道具が第1の性格だ。反対勢力の抑圧と恐怖の誘発のためには最大限住民に見せつけなければならない。中国の毛沢東元主席が言ったように「権力は銃口から生まれる」ためだ。一方、北朝鮮の外部に処刑の情報が漏れてはならない。国際社会から人権抹殺国と非難される恐れがあるためだ。公開処刑が持つ第2の性格だ。このため、公開処刑は労働新聞や朝鮮中央通信のような対外用メディアでは一切報じられない。北朝鮮は公開処刑を隠し、北朝鮮社会の内部には広く伝えられる方法で広報する。

この時に使われる手段が「第3放送」だ。安保省庁関係者は、「第3放送は、各家庭に有線でつなげられたスピーカーで放送される。ラジオとは違って電波を使わないため、外部からの盗聴が難しい」と述べた。第3放送は平壌(ピョンヤン)だけでなく、各都市・郡・里まで結ばれており、農漁村地域ではラジオよりも発達している。これは、北朝鮮のラジオ受信機が不足しているという物資事情と集団聴取を通じて宣伝効果を高めようという北朝鮮当局の意図が反映した結果と推定される。

にもかかわらず安保当局が処刑事実を把握できるのは、ヒューミントがあるためだ。安保省庁当局者は、「北朝鮮住民による平凡な人的情報だけでなく、処刑執行に関与した担当者の口から粛清の事実を聞く」と述べた。粛清の対象者が助けてほしいという手紙を様々なルートで韓国政府に送ることも頻繁に起こっているという。

特に先月末、張氏の側近である李竜河(リ・ヨンハ)行政部第1副部長と張秀吉(チャン・スギル)副部長が処刑されたことは、軍情報当局のシギントでも把握された。処刑の事実を北朝鮮軍首脳部に伝える過程で、対北朝鮮盗聴が捉えたのだ。軍はこれを北朝鮮の異常動向と判断し、国家情報院と共に関連情報を集め、北朝鮮の内部動向を時々刻々追跡してきたという。軍関係者は、「北朝鮮が張氏の2人の側近を処刑した後、内部の動揺など万一の事態を阻止するために、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が平壌を離れている間に軍内部に速やかに伝えたようだ」と述べた。

独裁国家だが北朝鮮も処刑のためには容疑が必要だ。その際、主に使われるのがドルだ。北朝鮮で裕福な家庭は皆ドルを持っている。物資が不足し、北朝鮮ウォンは貨幣価値がほぼなく、権力者であればあるほどドルを多く持っている。北朝鮮当局は平素はこれを黙認し、粛清対象になった場合にその家からドルを見つけ出し、「国家情報院の工作金を受けた」と罪を着せる。そのため、粛清の際は家宅捜索から行なわれるのが常だ。

公開処刑は、受刑者を起立させ銃弾を蜂の巣のように30、60、90発と浴びせる。遺体は収容できないほど損壊する。親戚も「9族(9親等)を滅ぼす」と言われるほど徹底的に抹殺する。反対勢力を根絶やしにするためだ。そのため、北朝鮮で粛清は失職や降格ではなく、命を奪うことと同義語と受け止められている。