人間の技術的進歩は窃視症と同行した。１９世紀にカメラが発明されると、ほぼ同時にわいせつ映像が登場した。２０世紀のＶＴＲの急速な普及はポルノに負うところが大きい。インターネットの普及された初期には、「インターネットと親しくなる近道はわいせつ物の検索」という話もあった。最近、ソーシャルネットワーク（ＳＮＳ）に流通されている主要コンテンツの一つもポルノである。
◆絵画でも人間の覗き本能が表れている作品が多いが、代表的なのがルーベンス、レンブラントなどが描いた「スザンナと長老たち」である。スザンナが沐浴する場面を覗き見する二人の長老が、理性を失って「体を許さなければ、君が私たちを誘惑したと訴える」と恐喝する。だが、スザンナは拒んだし、ダニエルの公正な裁判で長老たちが処罰されるという、聖書の物語だ。この物語は、中世までは婦徳を教える素材として用いられたが、近世以降は性的魅力の溢れる女性の裸身を描くための手段として使われた。絵画の中の長老たちだけでなく、画家や観客も覗きの隊列に合流したわけだ。
◆端午の節句に乳房をむき出しにしたまま、小川で髪を洗う女性たちを描いた申潤福（シン・ユンボク）の作品「端午図」も一緒だ。女性たちではなく、岩に隠れて盗み見している、絵の片隅に小さく描かれているいい歳の未婚の男二人こそ、この作品の本当のポイントだ。この絵は、画家の腹黒さとともに社会のタブーには触らない機知を発揮している。
◆精神状態が正常でない２０代女性が裸で街を歩いている姿を携帯フォンで撮影してばら撒いた人たちが、大量に有罪判決を言い渡された。裁判所は、「隠し撮りではないとしても、羞恥心を引き起こす映像を撮って流布すれば処罰される」と説明した。公共の場所で撮影したものでも、制裁を受けることになりかねないことを明確にした判決だ。先月には、大通りの乗用車の中で男女が性行為をしているところを撮影して流布した常勤予備役（補充役）が逮捕され、憲兵隊に身柄を引き渡された。窃視症は誰にもある。だが、嵌りすぎて日常生活や社会生活に問題を引き起こす程度なら、疾病に分類され、他人に被害を与えると犯罪になる。法以前に、自己節制が求められる時代だ。
虚承虎（ホ・スンホ）論説委員 tigera@donga
About Dong-A Ilbo