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「透明でない資本主義は持たない」 元リーマン副社長の告白

「透明でない資本主義は持たない」 元リーマン副社長の告白

Posted September. 02, 2013 06:26,   

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米ニューヨーク・マンハッタンのタイムズスクエアのアイコンの一つであるバークレイズビル。3つの階を取り囲んだ電光板は、絶えず、世界の金融ニュースを伝えながら、24時間、タイムズスクエアを灯している。ここを通るたびに、足を止めて、ビルを見上げるというローレンス・マクドナルド・ニューエイジ首席米戦略家(46、写真)。5年前までは、彼はここで、米4大投資銀行・リーマンブラザーズ(リーマン)の転換社債の取引を取り仕切っていた副社長だった。世界に衝撃を走らせ、リーマンが破産した08年9月15日、彼は、慣れた事務所を離れ、社屋は、英国系銀行のバークレイズに渡された。

彼が内部で目撃した破産ストーリーを盛り込んで09年に発売した「常識の失敗(A colossal failure of common sense)」は、米国や韓国などの12ヵ国で、計100万部以上が売れた。5年が過ぎた今、彼の感想を聞くために、先月27日、旧リーマン本社から5分距離の事務所を訪れた。

●ウォール街は、思うほど変わっておらず

同僚の近況を尋ねると、「2週間前も、かつての同僚が自ら命を絶ったというニュースを耳にした。少なからぬ人たちがこの世界を離れ、別の仕事に携わったり、今も失業状態だ」と伝えた。しかし、リーマン事態は、彼らだけの「悲しい自画像」というには、世界経済に及ぼす影響があまりにも大きかった。6130億ドル(約680兆ウォン)の借金を返済できなかった米史上最大の破産だった。

「07年から、私を含め、幹部陣が最高経営陣や取締役会に対し、住宅ローンをまとめて作った資産担保付証券(CDO)の割合を減らすべきだと何度も主張したが、彼らは耳を貸さなかった。かえって、自己資本の40倍を超える借金を作った」

幸い、その影響で、ウォール街各銀行の負債は大幅に減ったのが、代表的に変わったことだと明らかにした。しかし、派生金融商品への規制は依然、なかなか進まないというもどかしさを明らかにした。

「リーマンは当時、会計帳簿に記載しなかった派生金融負債を、ロンドンに移し、規制当局すらそれに気付かず、破産へとつながった。今も、高収益を狙ったウォール街の派生金融商品への貪欲は消えていない」

実際、年明けから、JPモルガンチェイスが、派生金融商品の取引で膨大な損失を記録した。バラク・オバマ政府が10年7月に発表した3500ページに渡る400件の法案を盛り込んだ金融改革法「ドッドフランク法」のうち40%が、まだ実施日程を組めないほど、ウォール街の反発は今も激しい。

●「次のリーマン事態は中国で起きるだろう」

CNBやブルームバーグテレビなど、米主要メディアにレギュラーパネリストとして参加するほど、ウォール街で影響力の大きい彼に、「米国が第2のリーマン事態に見舞われるだろうと思うか」と尋ねた。氏は、「リーマン事態などの出来事が再び起きれば、それはほかならぬ中国だ」と言い切った。米紙ワシントンポスト(WP)も、6月の信用危機に直面した中国金融市場は、リーマン事態と似た道をたどっているとし、4つのシナリオを示したことがある。

「リーマン事態がもたらした教訓は2つだ。危険性がガラス張りに現れない限り、資本主義は持ちこたえられない。また、危機は脆弱な隙間を追って、『形を変えながら』絶えず、捜し求めているということだ」

氏は、中国の規制当局の監視を避けて急成長してきたノンバンクの金融会社を指す「影の金融」の危険性について最も懸念した。ロイターは最近、影の金融システムが、中国国内総生産の最高40%に上る融資を行ったと報じた。マクドナルド氏は、中国に続き、日本政府の景気刺激策「アベノミクス」が失敗しても、リーマン事態に匹敵する衝撃が起きるだろうと見込んだ。

「韓国はどうか」という質問に彼は、「韓国は新興国市場で最も差別化された国だ。しかし、少しでも気を抜く瞬間、危機は蛇のように襲ってくるだろう」と語った。