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NLLストレスとピュロスの勝利

Posted July. 31, 2013 04:54,   

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真昼の血戦は終わり、西海(ソヘ、黄海)上の北方限界線(NLL)政局も徐々に終わりつつある。「NLL政争中断」(セヌリ党)、「NLL論議永久終息」(民主党)など表現の違いはあるが、与野党いずれも出口戦略を模索している。これまで「NLL争いは止めろ。日々の暮らしが苦しいのに…」という声を聞いてきたので、与野党のこのような動きに「遅いがよくやった」という思いもする。

それにもかかわらず何かすっきりしないのは、思惑が垣間見られるためだ。与野党はNLL論議に対する国民の食傷を意識しながらも、心の中では「政治的得失」を考えただろう。大統領選挙不服の火を鎮め、親盧(盧武鉉)という「共通の敵」に致命傷を負わせた程度で「適当な休戦」がいいと判断したようだ。「政争中断」、いいだろう。ただ、大目にでも見てやったかのように「国民経済のためにNLL論議中断の大乗的な決断を下したのだから、そう思え」と言ったところで、「はい、分かりました」とすべて忘れるには、これまでの「NLLストレス」があまりにも大きい。

NLL論議の根源は、昨年9月、当時朴槿恵(パク・クンヘ)大統領選候補の東亜(トンア)日報とのインタビューに遡る。朴候補は、NLL尊重を前提に、西海共同漁労・平和水域設定案などを北朝鮮と協議できると明らかにしたところ、北朝鮮は約2週間後に「無知の表現」と朴候補を非難した。笑顔の頬を殴られた格好になった朴候補は当然「私が知らないことがあるのか」と言い、これが鄭文憲(チョン・ムンホン)議員の「盧武鉉(ノ・ムヒョン)NLL放棄発言」暴露につながったことは周知のとおりだ。

国家情報院の大統領選挙介入が論議を呼ぶ中、国家情報院が首脳会談会議録の全文を公開する初の事態も起こったが、真実は依然として霧に包まれている。盧元大統領がNLL放棄発言をはっきりと言ったのか言わなかったのか、「史草」廃棄を指示したのかなど、これまで提起された争点のほかにもいくつか知りたい問題が頭の中をめぐる。

その一つが、朴槿恵政府の外交安保実力者の曖昧な、混乱させる態度だ。南在俊(ナム・ジェジュン)国家情報院長は、盧元大統領の西海平和協力構想そのものをNLL無力化のための「利敵行為」と見ているようだ。2007年の首脳会談当時、国防長官として北朝鮮の金鎰迵(キム・イルチョル)人民武力部長と交渉を行った金章洙(キム・ジャンス)現大統領外交安保室長は、等距離・等面積原則が貫徹されれば西海平和協力構想そのものには問題がないということなのか、何の言及もない。

進歩陣営と野党が、「西海共同漁労区域の設定がNLL放棄なら、朴統領が明らかにした非武装地帯(DMZ)平和公園構想は休戦ライン放棄ではないのか。ダブルスタンダードだ」と攻勢をかけたが、与党で誰一人論理的に反論する人はいなかった。任期をわずか4ヵ月残した大統領が国民同意の手続きもなく北朝鮮指導者に会い、西海5島からの軍撤収を云々したことと、確固たる安保態勢を基に国連参戦国が参加するDMZ平和公園構想には、質的な違いがあるのにだ。

NLL政局の最後を飾るのは史草廃棄論議だ。真実を明らかにしなければならない。文在寅(ムン・ジェイン)議員の正直な立場表明がなければならないだろう。ただ、「政治事案」に変質した史草廃棄の真実を検察が捜査して明らかにするとしても、野党の承服と国民多数の共感を得ることができるか疑問だ。さらに「史草漏洩」の責任も問わなければならないという一部の指摘を与党は見て見ぬふりをするのだろうか。

「ミネルヴァのふくろうは夕暮れに飛び立つ」。真昼の混乱する事件が終息して静かになる頃に、目を開いて知恵を得るためだ。今や政治的得失ではなく、知恵を確認しなければならない。誰が勝とうが結局は傷だらけの栄光、「ピュロスの勝利(Pyrrhic victory)」にすぎない。