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政治に無関心な大統領

Posted July. 30, 2013 03:03,   

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女子学生に片思いする男子学生がいた。男子学生は毎日、校庭で女子学生を目で追った。声をかけるわけでもなかった。女子学生は別の男子学生と恋愛中だった。だがいつも遠くから見ているだけだった男子学生にチャンスが訪れた。女子学生とその彼氏が図書館の前で口げんかをし、彼氏が女子学生を置いて行ってしまった。しくしくと泣く女子学生を見て、男子学生は勇気を出した。「うなだれた君の肩を見ると、僕は胸が痛む」。何度も繰り返して言った後、女子学生の前に立った時、女子学生は「一体何なの?」と睨みつけた。一瞬、固まってしまった男子学生の口から出た言葉は、「うなだれた君の胸を見ると、僕は肩が痛む」。

申京淑(シン・ギョンスク)の小説、「どこかで私を探す電話のベルが鳴って」に出てくる話だ。言葉をどこにつけるかによって意味がまるで変わってしまう。この男子学生は、変態と思われただろう。国民の意思を代弁する「民意の殿堂」は、この男子学生とは次元が異なる「言語神工」たちの角逐の場だ。

大統領を除いてすべてを経験した李海瓚(イ・ヘチャン)民主党常任顧問は、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を「あなた」と呼び、暴言を吐いた後、「あなたは相手がいない時に高めて呼ぶ言葉だ」と言い放った。党内最多当選(当選6回)らしい理由づけだ。同党の辛京鏜(シン・ギョンミン)最高委員は元MBCアンカーらしく「『あなた』の語法について勉強しなさい」と戒めた。

与野党の「言語神工」間の真っ向勝負は2007年の南北首脳会談会議録の意味解釈で繰り広げられた。どうして同じ会議録を見て、一方は大統領が領土を放棄したと怒り震え、もう一方は「(会談後半)雰囲気は穏やかだった」(柳時敏元保健福祉部長官)と評価が分かれるのだろうか。柳元長官は、セヌリ党は「読解文盲」だと言い放った。柳元長官の言葉が完全に間違っているわけではない。韓国大統領が北朝鮮の報道官の役割をしたと自慢するのだから、雰囲気が悪いわけがない。

政界の「暴言パレード」は、新しい血を妨げるカルテルだ。このような乱闘の場に精神のまともな人が入りたいと思うだろうか。朴大統領が政治と距離をおくのも理解できる。しかし、大統領は政治の頂点にいる。国民は体感温度が低い政策よりも、露出の頻度が高い政治を見て国政の流れを読む。それでも朴大統領が政治に口を開くのは2つの場合だけのようだ。自分が不当に攻撃を受けていると思った時と事案の核心がよく分からない時だ。「新政府が全ての責任を負えというのはナンセンスだ」という抗弁は前者であり、地方医療院の慢性赤字をめぐって「いい赤字もある」という言葉は後者だ。

政界がこの約1ヵ月間「史草」論議で迷走する時、朴大統領は傍観者だった。与野党いずれもが敗者になって再び国民生活を語るが、政界の回帰本能がいつ発動するか分からない。そうなれば再び大統領一人で経済だとか雇用だとかで東奔西走するのだろうが、政治の支えのない政策は虚しい。優先順位を定め、資源を配分することは政治の役割だ。雇用創出、創造経済、サービス業規制緩和など、核心課題が空回りするのは国政と政治がかみ合わないためだ。

先制的な対応を強調する朴大統領がまず国家情報院の政治介入を叱責し、国家情報院改革案を提示して国論分裂を防ぐことはできなかったのだろうか。大統領選挙への不服を通じてでも延命しようとする野党にまず慰労と協力の手を差し出すことはできなかったのか。朴大統領は国家の蔵をはたき、あらゆる国政課題を押しつけながら、国家指導者の連席会議の構成や機会均等委員会の設置、不偏不党人事など、金のかからない政治公約には関心が不十分なようだ。

選挙で勝つことと国家を統治することは別問題だ。一度成功を収めた人は、別の問題も同じ方法で成功できるという誤った自信に陥りやすい。大統領選成功神話を書いた歴代大統領が一様に統治に失敗した理由だ。