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大宇造船職員の臨終体験の理由は

Posted July. 20, 2013 04:16,   

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「皆さんは先ほど、事故に会って亡くなりました。これからは、自分がこの世を去ったと考えて、自分の人生や大切さについて考えてみましょう」

11日午前、慶尚南道巨済市(キョンサンナムド・コジェシ)に位置する大宇(テウ)造船海洋・玉浦(オクポ)造船所の職員教育館。「謹んで、故人の冥福を祈ります」という垂れ幕の下に、労働者60人あまりが緊張した表情で、自分の前に置かれている棺おけを眺めた。彼らは順に沿って棺おけの中に、3〜5分間入る臨終体験を行った。ろうそくに映された自分の遺影を見た職員らの顔は、粛然さに満ちている。

ここは、大宇造船海洋が現場の安全ルールを違反した労働者を対象に行う「新たな命の体験教育」現場だ。しばらく、安全帽をかぶらなかったり、禁煙区域でタバコを吸っていたところをばれるなど、些細なミスを犯した人たちまで、同日、教育を受けた。大事故は、些細な不注意から始まるケースが多いという経験を反映してのことだ。

安全ルールの違反者らは、この日、遺言状を書いた。家族や知人宛に手紙を書いた。最初は、教育出席者の大半は、たいしたことでもないというふうに振舞った。しかし、遺言状を一文ずつ読み下すと、空気が厳粛になった。全ての出席者が無災害を誓い、4時間の教育を終えた。

自分の死を想定する重い気持ちの場だったが、教育に対する職員らの反応は割合よかった。大宇造船海洋の関係者は、「自分の不注意が同僚の命まで奪いかねないという認識が高まった」とし、「教育課程で多くのことを感じた」と話した。

大宇造船海洋では、昨年末と年明けに安全事故が次々と起きた。コンテナ船の組立過程で、落ちた船舶のブロックに当たったり、高いところでの作業の途中、転落する事故が起きた。外部に伝わった事故だけでも、職員3人が死亡し、9人が重軽傷を負った。会社は、「死の作業所」という不名誉のレッテルが貼られた。労働団体は、代表取締役を検察に告発するなどした。

相次ぐ事故は、会社にとっても深刻な悩みの種となった。同社は3月から、安全ルールの違反者だけでなく、現場の管理監督と関連のある全ての人たちに、新たな命の体験教育を受けさせている。最近まで、管理者級の役員や従業員1000人あまりが教育を受けた。

昨年7月から始まった新たな命の体験教育は、20数年間発生した全体死亡事故の原因を分析して作った「12の安全ルール」を基にしている。このルールは、作業時にシートベルトをつけるとか、操業中の船舶や資材の下への出入りを禁止するなど、基本的な内容が柱となっている。このルールのみきちんと守っても、深刻な人命被害を防ぐことができる。労働者や会社にとって最もよいのは、怪我をしないことだ。

このような努力のおかげで、大宇造船海洋は先月末、フランス最大手の石油会社・トータルが選んだ「最高に安全な優秀事業所」に選ばれた。トータルは、審査対象の世界120あまりの協力会社のうち、大宇造船海洋の安全管理レベルが最も高いと評した。大宇造船海洋の関係者は、「役員や従業員らの努力が評価された有意義な成果だ」と話した。

しかし、大宇造船海洋の労働者らは、依然、安全事故への緊張を緩めずにいる。新しい工法を適用して船舶を造るプロジェクトを実施する時に、予期せなかったリスクが現れることもありうる。また、納入日にあわせるため、無理な操業をしても、事故がおきかねない。大宇造船海洋労組の関係者は、「新たしい工法や環境に適した安全設備や施設の充実化にも力を入れなければならない」と語った。