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大韓民国の有様を風刺するフュージョンパンソリ「サチョンガ」

大韓民国の有様を風刺するフュージョンパンソリ「サチョンガ」

Posted July. 16, 2013 07:15,   

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「パンソリとは、物語を観客に伝えるものであり、そのことを理解して演じられる人を探そうと思いました。どんな考え方を持っているかは探らなければなりませんでした。ソジンは、何でもやりこなし、スンヒは、かつては目にできなかった落ち着きや真剣さを持っています。この子たちに会うため、ここまで来たような気がします」(イ・ジャラム)

オーディションに合格したイ・スンヒとキム・ソジンは、3ヵ月間、「サチョンガ」の台本を基に、歌の伝授を受けてきた。さらに、サチョンガの原作であるドイツ社会主義の劇作家・ベルトルト・ブレヒトの「セツアンの善人」を一緒に読んだ。フリードリヒ・エンゲルスの「家族、私的所有及び国の起源」や韓国の現代史についても勉強した。3人は、当時を思い浮かべながら大笑いした。

「練習のない日は、何時も勉強でした」(イ・スンヒ)

「やりがいのある時間を過ごせました。お姉さん(イ・ジャラム)がいつも沢山の宿題を出したので!」(キム・ソジン)

「国というものが、どのように作られ、権力がどのように形成されるかを知ってこそ、サチョンガを歌いこなすことができますからね。この子達の顔には、『なぜこんなことをしなきゃならないの!』とかかれてましたけど(笑)、私を信じてついて来い、といいました」(イ・ジャラム)

07年、わずか3日間の公演から始まったサチョンガが、8月4日まで、ソウル興仁洞(フンインドン)の忠武(チュンム)アートホールの中劇場・ブラックで、1ヵ月間公演を行う。お問い合わせは1588−5212まで。

なかなか目にできないパンソリの長期公演が可能なのは、彼女らが3人3色で交互に舞台に立つことができるからだ。この公演は、彼女らの自信であり誇りである。また、新たな出発点でもある。3人が所属しているアーティストサークル「パンソリを作ろう」は、昨年末まで、ナム・インウ(40、劇団・プクセトンの芸術監督)、イ・ジャラムの共同芸術監督体制だった。年明けに、ナム・インウがプクセトンに戻り、イ・ジャラムが単独芸術監督についた。

「これまで、芸術監督といっても、『自分はアーティストだ』という考えを持っていました。頼もしい演出家(ナム・インウ)が離れ、芸術監督の気持ちを初めて持つことができました。そんな中、スンヒとソジンからそれぞれ、『パンソリを辞めたい』といわれましたね。そんな気持ちにさせたのを、大変申し訳なく思いました」(イ・ジャラム)

今の時代にパンソリを抱え、どのように歩んでいくべきかが、最近のイ・ジャラムの関心事となっている。結論は、後輩のパンソリ役者に道を示し、多くの人がより多くのパンソリ俳優に触れられる機会を作ることだった。その第一歩が、このサチョンガの長期公演だ。

3人が一緒に演じるサチョンガのあらすじは、こうだ。大韓民国のサチョン市に住む、太っているが気立ての優しい少女・スンドクは、神から渡された金で、飲食店を始める。しかし、ありとあらゆる人間が詰め掛けてきては、飲食店をつぶしたため、スンドクはやさしい気持ちだけでは生きられず荒んでいく。パンソリ役者は、1人で15人役を演じながら150分間、1人で舞台を取り持つ。スンドクを強請ったソムリエのキョンシク、金でスンドクを誘惑しようとするピョン社長、スンドクの偽の従兄のナム・ジェスなどへの変身を繰り返す。

「私は、大工とピョン社長が難しいですが、面白いと思います。ピョン社長は変態というキャラクターなんですが、(私は)退廃的なことがうまいみたいですね。ヒヒ」(キム・ソジン)

「私はキョンシクが、『漢江(ハンガン)のビタースイート』を歌うシーンで、元気を沢山もらいます」(イ・スンヒ)

実際、サチョンガの中で、ピョン社長は、「ピョン〜、ピョン〜」といいながら、クッコリというリズミに合わせてよたよたと登場する。キョンシクは歌う。「お嬢さんの目の中には、甘いビバホワイトのワインが入っている。こんな私を、あなたのボジョレー・ヌーボーのような気持ちが、泥沼から救う。さあ、あそこに我々を呼ぶヨーロッパ酒場の看板が光ってる。部屋代はあるだろう?」

「二人とも、自分が得意なことが好きです。スンヒが演じるキョンシクは、特にお兄さんの感じがうまく表現されており、ソジンのピョン社長や大工のシーンは、観客らが彼女をかわいくて堪らなくなるほどですね。私は何が好きかな?冒頭の部分で、『あの山この山』と歌いながら始まる部分が一番好きですね。その部分をどうこなすかによって、その日の公演が左右されるからです」(イ・ジャラム)