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「CEO李健熙VS人間李健熙」 三星を語る3冊の本

「CEO李健熙VS人間李健熙」 三星を語る3冊の本

Posted June. 22, 2013 06:38,   

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三星(サムスン)のイメージは二重的だ。米タイムズスクエアの電光掲示板や欧州チェルシーのユニフォームに刻まれている青いロゴを目にすれば、胸が一杯になる。しかし、「スーパー甲」となった財閥企業の横暴さや無労組経営、裏資金を巡る議論など、いわば「三星共和国」の行動を見れば、苦い笑いが出てくる。

実際、三星ブランドの価値は、世界9位まで上昇したが、米経済専門誌・フォーチュンなどが選ぶ「尊敬される企業」ランキングでは、ここ数年30位以下に止まっている。自慢ではあるが、なんとなく親しめない三星のイメージを説明する数値だ。

「SAMSUNG WAY」、「青年李健熙(イ・ゴンヒ)」、「李健熙改革の20年、もう一つの挑戦」という、三星を扱った3冊の本が最近、次々と発行された。「妻と子供を除く全てのものを取り替えるべきだ」というスローガンで知られている1993年6月7日の新経営宣言が出てきてから、20年を迎えてのことだ。

ソウル大学経営学部の教授らが書いた「SAMSUNG WAY」は、新経営宣言以降の経営戦略の分析に重点をおき、経済紙記者が記した「李健熙改革の20年、もう一つの挑戦」と「青年李健熙」は、人間としての李健熙の変化に注目した。これらの本は、前現職の三星の役職員とのインタビューや取材記者としての現場での証言が豊富に盛り込まれている。しかし、無労組経営や裏資金を巡る議論に関する話題は、ほとんど扱っていない。

韓国大学の教授として初めて経営ジャーナルのハーバードビジネスレビューに、11年に掲載した論文を基に、最新の事例を加えてまとめた「SAMSUNG WAY」は、きめ細かな分析に力を入れている。「三星ウェー、持続可能か」を突き詰める最後の章が、とりわけ目を引く。

著者らは、三星は「強い企業」にだけ止まっていては困ると助言している。電子と非電子系列会社との競争力格差の克服や、オリジナル技術の開発のように山積した課題について、一つ一つ突っ込んでいる。アップルは、自社と協力会社との収益配分率を3対7にし、協力会社各社により有利に適用している。グーグルも同様の割合で、共栄ビジネスを通じて、アップルを追い上げている。最近、甲と乙との問題が社会的話題となった中、三星としては注意すべきくだりだ。

著者らは、三星の強みにも注目している。いわば、「パラドックス経営」。一見すれば、両立不可能な複数の要素を同日追求する経営を指す。三星の3大パラドックスとは、△大規模な組織でありながら、スピーディさを持っている、△多角化と専門化との調和、△日本式経営と米国式経営要素との調和だ。

残りの2冊は、批判的で分析的なアプローチよりは、人物への友好的アプローチに止まっている。

「青年李健熙」は、新経営の原動力を幼年時代のエピソードから求めている。しかし、一人ぼっちという表現を除き、まるで英雄小説の幼年期を描いているような気さえする。小学5年生から3年間、日本に留学した李健熙が、自転車はもとより、自動車まで分解し、組立ながら構造を覚えたというエピソードなどがそれだ。李会長に残された宿題を、「創意的人材育成」と短めに指摘した本の最後のくだりは、果たしてこれだけだろうかという惜しさを残している。

「李健熙改革の20年、もう一つの挑戦」は、懇談会での発言や非公式な生の声をそのままうつしている。しかし、どこか監修を受けたような気がするほど、批判的見方は少しも見当たらない。「悲観を前向きに変える魔法」、「不良を燃やす」などのタイトルは、三星のための献辞ような気がする。2018年の冬季五輪の開催地として平昌(ピョンチャン)が発表された瞬間、涙を流した李会長の物語を、本の最後に編集したのは、献辞の頂点を示している。