Go to contents

恐怖と贅沢、独裁者の二つの顔

Posted June. 20, 2013 03:06,   

한국어

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記が現地指導に担当責任者と住民たちを怒鳴りつける場面を相次いで公開している。党の長老や幹部、主要関係者も問責されることを見せ付けることで政権と社会を引き締めたい狙いがある、との見方が多い。反面、金第1書記自身は、最高級ヨットに乗って豊かな生活を過ごしている。これについて、北朝鮮事情に詳しい消息筋は、「自分には限りなく寛大で、人民には厳しい独裁者の二つの顔を端的に現れている」と話した。

北朝鮮の朝鮮中央通信は19日、「1月19日機械工場」を訪問した金第1書記が「2階建ての革命史跡教養室を2年以上完成できずにいる」として、工場の党委員会幹部らを責め立てたと報じた。同通信によると、金第1書記は「党の決定指示なら無条件達成してみせる決死貫徹の闘士にならないで、小さな難関にも挫折し、上だけを見ている」と怒鳴りつけた。また「道党委員会の関係者たちは工場に来て何を見て何を指導しているんだ」と怒った。建設現場に放置された資材を見ては「嘆かわしい。言葉が出てこない」とも話した。

金第1書記は、今年5月27日に海軍の第291部隊を視察した際も、「軍人が生活する兵営を適合した場所に決められていない。艦艇が露出したまま、きちんと偽装をしていない」と指摘した。軍の高級将官たちが傘を刺さずに雨に濡れながら、金第1書記の戒める言葉をメモしている場面が公開された。これに先立って、同7日には、軍が建設中のミリム乗馬クラブ建設現場を訪ね、自身が送った外国乗馬学校の資料を参考にしなかったとして、軍幹部を叱った。

建国(コングク)大学のチョン・ヨンソン教授は、「金第1書記が『新しい時代には新しいやり方が必要だ』ということを強調するため、『馬息嶺(マリクリョン)速度』と言うスローガンを掲げて駆り立てている。その様子を公開したのは、多分に意図的だ」と分析した。

一方、金第1書記は、国際社会の制裁にもかかわらず、最高級ヨットを輸入するなど、贅沢な生活を続けているという。北朝鮮専門サイトのNKニュースによると、5月28日に金第1書記が江原道元山(カンウォンド・ウォンサン)に位置する「8月25日水産事業所」を現地指導した様子を撮影した写真で、最高級ヨットが停泊しているのが映っていた。「プリンセス95MY」というモデル名のヨットは、ルイ・ヴィトンなど世界的ブランドを展開するLVMHグループ所属のプリンセスヨット社が製造したもので、1隻当たりの価格は700万ドル(約80億ウォン)を上回る。外観は似ていても、内装材が一段と高級仕様になっている最新「プリンセス98MY」モデルなら、価格は870万ドル(約98億ウォン)に上る。

このヨットのために、金第1書記は先月24日から平壌(ピョンヤン)を10日も空けて元山に滞在する理由が、現地指導や政治構想よりは休養を取るためではないかとの見方もある。元山には、金氏一家のヨット停泊施設がある。

北朝鮮は、2006年に1回目の核実験をして以来、国連安保理が採択した対北朝鮮制裁決議1718号によって、ヨットや宝石類など贅沢品の取引が禁じられている。2009年には、北朝鮮がヨット2隻を輸入するところを摘発され、イタリア政府によって押収された経緯がある。このため、金第1書記が、どのようなルートからヨットを輸入したのかに関心が集まっている。

船体を分解して、複数のコンテナに分散して船積みした後、組み立てた可能性が高い。プリンセスヨットの販売責任者、ウィル・グリーン氏はNKニュースに対し、「95MYは数年前から販売開始されたため、何度も持ち主が変わっているだろう」と言い、「このヨットが、どうやって北朝鮮に入ったのか、現在内部調査を行っている」と明らかにした。