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「いたずら」ではなく「暴力」、10代の新地域感情

「いたずら」ではなく「暴力」、10代の新地域感情

Posted June. 19, 2013 05:39,   

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イ・ジンソン(仮名)君(14)は、衝撃を受けた。転校してきてからすでに1週間が過ぎたのに、新しい友人ができるどころか、周りは遠ざかっているようだった。先日は、こんなことまで言われた。「おまえ、くさいぞ。こっちには来るな」。

僕がくさいって?イ君は、1日に2度もシャワーを浴びている。そんな彼に対して、友人らはなぜ、くさいというのか。何で叩いたり、声をかけても返事をしてくれなかったりするんだろうか。

●日常で「エイ」云々する10代

その理由は簡単だった。先日、転校してきたからだ。ソウルのA中学校に転校に来たその翌日、クラスで割りと喧嘩のうまい友人一人が彼を呼んだ。「お前からエイのにおいがする」。エイとは最近、ネット上で全羅道(チョンラド)出身を卑下する表現だ。そのときから、ほかの友人たちも、彼をからかい始めた。自然に、集団いじめの空気ができた。それからしばらくした後、彼の周辺には誰もいなくなった。

イ君の口数は目立って減ってきた。深刻なレベルではなかったが、人を避けることまで起きている。彼の父親は、「子供らの口からそんな言葉が出てきたことに、衝撃を受けた」と話した。今は、息子のために、再び故郷に戻るかどうか深刻に悩んでいる。

10代の地域感情が深刻なレベルに達している。オンラインを中心に、なんら根拠もなく覚えた地域感情が、いまやオフラインにまで広範囲にわたって広まっている。

記者が、ソウルのB中学校を訪れた11日。多くの生徒らは、地域感情と関連した言葉を自然に、口にしていた。10人中7人は、「パルチザン」や、「エイ」、「ノウンジ(盧武鉉元大統領の自殺を卑下する表現)などの言葉を、日常的に使っているという。

生徒らの携帯電話を見た。一人の生徒は、カカオトークのスクリーンに、「パルチザン淘汰」と書かれていた。ひょっとして、両親が慶尚道(キョンサンド)出身なのか。答えはこうだった。「ただ、流行のように、面白くて使ってみただけなのに…。理由なんかありませんよ」。

この学校のチョン某教師は、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)が問題だと主張した。需要者がそのまま伝播者となり、地域感情が急速に広まっています」。

●ゆがんだ地域感情、わいせつ物よりさらに脅威的

昨年12月の大統領選挙では、10代のゆがんだ地域感情がそのまま表れた。ポータルサイト・ネイバーによると、大統領選挙期間中、10代らが作成した特定地域を卑下する書き込みは、その前の大統領選挙のときに比べ、3倍近くも増えた。ネイバーの関係者は、「10代の表現は、非常に敵対的かつ過激なのが特徴だ」と強調した。

最近、ソウルのA私立大学では、祭り期間中に、全羅道を卑下する垂れ幕が掲げられた。批判が殺到すると、知らぬ間に降ろされた。学校の総学生会の関係者は、「文句を作った学生が、普段から使っていた言葉をそのまま書いたことでおきた出来事だ」と釈明した。

年明けに、ケーブルテレビのゲーム専門チャンネルでは、選手がニックネームとして、「北傀(北朝鮮傀儡)マルチ全羅道」と書いたのが、そのまま放送に露出される出来事まで起きた。

このような「無差別な地域感情」を引き起こすスペースは、同じくオンライン上だ。特に、「イルべ(日間ベスト所存所)や「オユ(今日のユーモア)」など、10代が集まるネット上のコミュニティサイトが、その代表となっている。うわべでは、保守(イルべ)や進歩(オユ)を叫んでいるが、極端的な表現で、地域感情を刺激する時が多い。中学生のキム某君(14)は、「イルべに30分ぐらいいても、全羅道は落ちぶれたところ、全羅道の人は悪いやつのように洗脳される」と話した。

逆に、オユには最近、「(朴槿恵政府は)、慶尚道の元世勳(ウォン・セフン)による、慶尚道の金用判(キム・ヨンパン)による、慶尚道出身の朴槿恵を大統領に作った事件だ!!」、「不正選挙の情況があるにもかかわらず、慶尚道は沈黙している」という書き込みが掲載されている。

ソウル大学の申宗昊(シン・ジョンホ)教授(教育学科)は、「特定地域を卑下する表現は、10代にとっては長期的にはわいせつ物よりさらに脅威になりかねない。伝統的な地域感情より、さらに解決が難しい『新地域感情』へと悪化する可能性が高い」と懸念した。