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「スズメだよ〜、スズメ」

Posted June. 04, 2013 05:10,   

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「スズメだよ〜、スズメ」

船から魚の入った箱を運び出す船員の声が、獲れたてのスズメ鯛同様、新鮮で活気に満ちていた。3日昼、済州道西帰浦市大静邑(チェジュド・ソギポシ・テジョンウプ)の慕瑟浦(モスルポ)港は賑わいだ。女性はその場でヒレやうろこを取り、買い取り業者はスズメ鯛の箱に氷を入れてトラックに積んだ。スズメ鯛は市場やレストランに直行した。

済州の代表的な魚の一つであるスズメ鯛が旬だ。見るからにおいしそうな身がついている。7〜8センチから最大15センチまで大きさは様々だった。大きいほど高値がつく。この日、港で現金で取り引きされた価格は1キロ当たり4000ウォンから7500ウォン。漁獲量と需要によってその日の値段が決まるので偏差が大きい。

●産卵シーズンは絶品

慕瑟浦港でスズメ鯛漁をする漁船は約20隻。済州で消費されるスズメ鯛の相当量を供給している。過去には「テウ」と呼ばれるイカダや風船に乗って円形の枠にかけられた網を水中に垂らす方法が使われたが、1950年からは船から小型ボート2隻を海に出し、網を水深10〜20メートル沈めておく「敷き網漁法」が登場し、今まで続いている。

慕瑟浦船籍のフンジン号(8.5トン)のカン・スンナム船長(67)は、「最近1回の出漁で200〜500キロの収穫がある」と話した。

済州の人々はスズメ鯛を略して「スズメ」と呼ぶ。「慕瑟浦のスズメ」はその中でも有名だ。潮流が、慕瑟浦沖にある国土最南端の馬羅島(マラド)と加波島(カパド)の間を通って強い流れを作る。この一帯のスズメ鯛は、強い潮流に耐えて成長するので肉質がいい。産卵を前に最近は脂がのり、7月までの子持ちのシーズンは香ばしく味が絶品だ。

●刺身はもちろん焼き物、塩辛も美味

済州を離れた同郷の人々は、額に汗がにじみ出す初夏になるとスズメ鯛を思い出す。郷愁を誘う代表的な魚だ。今はなかなかお目にかかれないが、20〜30年前までは、竹で作ったカゴにスズメ鯛を入れて路地を縫って「スズメだよ〜、スズメ」と叫ぶ商人がいた。庶民が簡単に購入できるカルシウム、タンパク質の供給源として最高だった。

うろこと内蔵を取ったスズメ鯛を斜めに切って薬味と合わせた後、酢とサンチュ、ゴマの葉、キュウリなどを混ぜて冷たいスープを注ぐ「スズメ鯛の水刺身」は夏バテ防止に最適だ。中ぐらいの大きさのスズメ鯛をまるごと塩漬けにして日陰においておき秋に食べる「スズメの塩辛」は珍味中の珍味だ。新鮮なスズメ鯛を骨がついたまま切って味噌などにつけて食べる「スズメ鯛の刺身」、塩を振って焼く「スズメ鯛の塩焼き」も人気料理だが、骨があるので注意が必要だ。

済州の人々は、それぞれ自分が育った地域のスズメ鯛が最高だと自慢する。西帰浦市甫木洞(ポモクトン)の住民は、慕瑟浦のスズメとは違って「やわらかいスズメ鯛」が特徴だと自負する。ここで「甫木スズメ鯛祭り」が2日まで開かれた。スズメ鯛の手づかみ、スズメ塩辛のつけ方など多彩なイベントが行なわれ、市場も開かれた。