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[オピニオン]昆虫の価値

Posted May. 16, 2013 03:11,   

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1990年、ベトナムでは子供たちの栄養失調が深刻だった。だが、貧しい家庭でもとりわけ丈夫な子供たちがいた。米国の研究チームは、その子供たちが野原や田んぼで遊びながらカタツムリなどの昆虫を捕まえて、少しずつ頻繁に食べて飢えを凌いでいることを突き止めた。子供たちの食べ方を普及し、栄養不足の解消に貢献した。

◆昆虫は、狩猟や採集をして暮らしていた古代人類の有用なたんぱく質の供給源だった。農耕が主流となった今も、世界で20億人がカブトムシや幼虫、蜂、アリ、バッタ、コオロギなど1900種あまりの昆虫を食べている。中国は、豆腐にアリやバッタを入れて食べており、東南アジアではツムギアリの卵が珍味として親しまれている。端境期を経験している韓国の中高年たちなら、バッタや蚕などで飢えを凌いだ「食用昆虫」の思い出を持っているだろう。

◆最近、国連食糧農業機関(FAO)が未来の食糧問題の対策として昆虫に注目している。2050年には90億に増えると見られる世界人口を食べさせるためには、高蛋白低脂肪にマグネシウム、鉄、亜鉛といった無機質が豊富な昆虫に勝る対案。穀物や肉類を生産するため農耕地や牧草地は自然を破壊しているが、昆虫はその恐れがないというから一石二鳥だ。問題は食用昆虫に対する嫌悪感を克服し、安全で環境に優しい生産法を開発することだ。オランダ政府は、食用昆虫の研究開発への投資に乗り出した。ワーゲニンゲン大学のマルセル・ディッケ教授は「2020年頃にはスーパーで虫を買うことになるだろう」と予想した。

◆地球上の動物の中で、最も多いのが昆虫である。知られているものだけでも約100万種に上る。有機物を分解し花粉を運ぶのも昆虫だ。アインシュタインは、「ミツバチが無くなれば人類も4年以内に絶滅するだろう」というぞっとする警鐘を鳴らしている。最近は食用以外にも、害虫防除、飼料、薬剤、環境浄化、ペット用として様々な分野で使われている。「東医宝鑑」に薬剤として使う昆虫のリストが書かれているのを見ると、わが国でも昆虫の色々な使い道があったことが分かる。わが政府も、2011年に昆虫産業育成5ヵ年計画を発表し、昆虫の産業的価値に注目した。ここまでくると、「虫けらにも劣る」という言い方は、昆虫に対する名誉毀損になるかもしれない。

パク・ヨン論説委員 parky@donga.com