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観音菩薩坐像盗難事件

Posted May. 14, 2013 08:09,   

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国内メディアではあまり報道されていないが、先週、日本のある市民団体が声明を発表した。対馬で盗難に遭い、韓国に密搬入された仏像2点をひとまず日本に返還し、略奪文化財返還問題は別途議論すべきだという内容だ。声明を出した団体は、日本国内で韓国文化財返還運動をしてきた「韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議」。茨城大学の荒井信一名誉教授が代表を務めている。今年87才の荒井氏は、1993年に日本軍従軍慰安婦に対する軍の組織的介入を立証する業務日誌60点見つけ出して公開するなど、20年余りの間、日本政府の歴史歪曲に対抗してきた学者だ。それだけに声明の重みが違う。受話器の向こうで荒井氏は、「この問題がさらなる日韓の感情対立に突き進んでいる。ほかの文化財の返還にも良くない影響を与える」とし、「真相を共に調査し、歩み寄らなければならない」と話した。

盗難に遭った仏像は日本に返還するのが道理ではあった。しかし、忠清南道瑞山市(チュンチョンナムド・ソサンシ)の浮石寺は、対馬の観音寺が所有していた観音菩薩坐像を「14世紀に韓国で製造され、浮石寺が所蔵していたのを倭寇が略奪した」とし、移転禁止仮処分申請を提出し、裁判所がこれを受理した。略奪の証拠があるのだろうか。

浮石寺のウォンウ僧侶に電話で尋ねると、3つの根拠を提示した。「仏教界では仏像を移安する時、腹蔵記(仏像内の記録)を残すのが原則だが、仏像が浮石寺の所有という記録だけあり、移安記録がない。観音寺の主張どおり贈答や寄贈なら、なぜその記録がないのか。仏像の頭の部分が破損していることも略奪の証拠だ」と強調した。さらに、「窃盗を擁護するわけではない。観音寺が所蔵の経緯を示すなら、いつでも仮処分申請を取り消す』と述べた。僧侶の声には悔しさがにじみ出ていた。

しかし、観音寺に仏像を所蔵するに至った経緯を立証する書類はない。だからといって証拠もなく「約600年前に倭寇が略奪した」と言うことは論理的飛躍だと観音寺は主張する。日本メディアは連日、韓国が窃盗品を返還しないと国民感情を刺激している。独島(ドクト、日本名・竹島)問題と結びつけて韓国が国際法を無視しているとも批判している。浮石寺の僧侶が事情を説明するために観音寺を訪問したことも逆効果だった。当時僧侶は、国内で製造された青銅仏像とマスコットの人形を贈り物として準備した。観音寺側はこれを嘲りと受け取った。

問題が感情争いに突き進み、対馬市は今年8月に開催予定だった32年間続く日韓文化交流の朝鮮通信使行列を中止した。九州国立博物館は、韓国国立中央博物館と共に2014年から2015年、日韓巡回展で開催する予定だった「百済特別展」を無期延期すると発表した。展示に出品する文化財所蔵者から「韓国に持っていくと返してもらえないのか」という問い合わせが殺到したという。

韓国の裁判所も困惑していることだろう。窃盗品ではあるが元の所有主が所有権を主張し、争いが起きたのだから、問題が解決されるまで返還を停止したのだろうが、日韓関係が悪化し、外交問題に増幅している。

今回の問題は、国家間の外交問題でもあるが、仏門で見るなら「お家争い」でもある。このような時、釈迦はどんな解決策を出すだろうか。「浮石寺の僧侶の心情心は理解できるが、大局的な見地から、仏像をひとまず返しなさい。経緯はどうであれ、窃盗品の形で返してもらいたくはないでしょう。観音寺の僧侶もこれを機に国民と共に日本国内の韓国略奪文化財を振り返る契機にしなさい。これを通じて両僧侶が日韓の信頼回復の契機となれば、世の中が仏家を仰ぎ見ることでしょう」。荒井教授との想像だ。