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「真の男」のための配慮

Posted May. 03, 2013 03:59,   

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最近のテレビでは、「ミリタリー(軍隊)バラエティ」が流行っている。

昨年からあるケーブルチャネルの兵営生活を扱ったシットコムが人気を呼ぶと、最近では地上波の週末ゴールデンタイムに芸能人が兵営を体験する番組まで登場した。

これらの番組はいずれも話題になり反響が大きい。動画共有サイトのユーチューブで、両番組は数万件の再生数を記録している。「軍隊の話はつまらない」という俗説を破っている。一部では、テレビバラエティの新しい風を起こしたという賛辞まで溢れている。

何が理由だろうか。軍隊は大韓民国の男児なら誰でも共感できる馴染みのある素材だ。軍隊を経験した人なら軍隊バラエティを見て「あの時」を思い出す。その底辺には、2年近く家族と離れて上司の命令に服従し、軍規を命のように考える軍人として国を守らなければならない「真の男」の苦しみと悲哀がある。軍隊バラエティ番組に登場する訓練兵と二等兵の階級章をつけたタレントの苦しい訓練と失敗のシーンを見て「そうだ」と膝をたたく予備役は私だけではないだろう。

ここに「ポグリ」(袋にお湯を注ぐラーメン)、「グンデリア」(軍隊で配給されるハンバーガー)など、兵営だけで味わえる「別味」は軍生活の思い出を倍増させる。「涙に濡れたパン」のように思い出と悲哀がこもった食べ物は一生忘れることができない。実際、最近のネットのブログには、軍隊のバラエティ番組を見て「ポグリ」と「グンデリア」を作って食べてみたという書き込みを目にする。

軍隊バラエティは、軍入隊を控えた若者や家族の兵営への好奇心を満たす役割も果たしている。さらに、有名タレントが直接兵営生活を体験することで、軍に対する漠然とした不安を払拭する効果も期待される。

しかし、リアリティを標ぼうしようがコミックな要素を加味しようが、軍生活が面白さ中心のバラエティの素材だけで扱われてはならない。私が軍に入隊した約20年前も今も、大韓民国男児に兵役の義務は決して容易ではない現実だ。社会で自由を満喫していたのに、国の招請を受けて厳しい軍律に縛られた兵営生活に適応することは容易ではない。兵営の環境が良くなったとはいうが、韓国の男性が軍入隊で体験する「カルチャーショック」は昔も今も別段違いないと言われている。「軍隊は大韓民国男児として行かなければならないが、2度行くのはちょっと・・・」という言葉は笑い話ではない。それだけ兵役の義務は人生の黄金期と言える20代の韓国男性にとって少なからぬ犠牲と忍耐を要求する。

さらに北朝鮮の継続する挑発警告の中で、軍服務は時には祖国に命を捧げなければならない危険で冷徹な現実そのものだ。

除隊軍人の就職時に加算点を付与する内容の兵役法改正案(軍加算点制)をめぐって国会国防委員会が議論してきたが、先月末までに合意に至らなかった。国防委所属の議員は、「軍加算点が兵役義務を終えたことに対する補償か、特典か」をめぐって論争を繰り広げたが、結論に至らなかった。

軍加算点制は、軍経歴に対する実質的な優遇を通じて健全な兵役文化を定着させ、兵役忌避を阻止する意義がある。女性界は、軍服務加算点が男女平等に反するとして反対の立場だ。1999年に憲法裁判所で違憲判決が下された軍加算点制を復活させてはならないという反論も少なくない。一部では、軍服務加算点に対抗して「母親加算点制」(出産女性の再就職時に加算点を付与する制度)を導入しようという主張まで出ている。

しかし、軍加算点制は憲法に明示された兵役義務をはたした人に対する公平性を回復することであり、特典ではない。兵役義務を誠実に履行した若者が不利益や逆差別は受けないようにすることは道理ではないだろうか。歴代政府は、軍服が誇らしく軍服務が栄光になるようにすると言った。家族や国のために青春を捧げた多くの英雄が自負心を持って生きていけるようにすることは国家の責務だ。ならば「親兄弟が私を信じて暮らせるよう」献身した「真の男」のための国家的な優遇と配慮は当然のことだ。軍服務加算点制がその出発点にならなければならない。