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金正恩は米国の「お笑いネタ」

Posted April. 29, 2013 03:00,   

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米国の女性アンカーが取材のために北朝鮮入りして抑留され、反米宣伝に動員される。北朝鮮指導部は、女性に赤色の韓服を着せ、北朝鮮のイントネーションで反米スローガンを言わせようと四苦八苦する。北朝鮮の姿は恐怖とは程遠く「コミック」だ。数日前、米テレビの人気シットコム「30ロック」で北朝鮮関連エピソードを扱った内容だ。

若年層が好んで見るトークショー「ジョン・スチュワート・デイリー・ショー」は最近、韓半島の戦争危機が最高潮に達した時に北朝鮮について扱った。ここでも、北朝鮮は脅威というよりも旧式コンピュータを見る金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の滑稽な姿とテキサス・オースティンを攻撃の対象に含めた北朝鮮が荒唐無稽だと嘲弄する内容だった。

多くの米国人にとって、北朝鮮は脅威どころかあきれて、情けなく、滑稽な対象だ。北朝鮮が挑発してもお笑いネタとしか思わない。「全盛期が過ぎた」バスケット選手、デニス・ロッドマンに会い、粗雑な米国への攻撃動画をユーチューブに載せる金正恩政権を「情けない」、「コミカルだ」を越えて「おもしろい」と楽しんでいる。

米国で北朝鮮を語る時に最も多く使う表現は「奇怪(bizarre)」だ。最近、オピニオン誌「アトランティック」は、北朝鮮に対する米国の見方も奇怪だと批判した。核の脅威と人権蹂躙の北朝鮮を笑い飛ばし、たいしたことないと考える米国人の態度を反省しなければならないと指摘した。

北朝鮮の脅威をたいしたことないと考えることは、「情報が制限された」一般の人たちの感情に限ったわけではない。政界も然りだ。米国では北朝鮮とイランは常連の比較の対象だ。北朝鮮の核開発の水準が一枚上手だが、北朝鮮はイランほど注目を浴びない。ヘーゲル国防長官は、議会承認聴聞会でイランを170回言及したのに反し、北朝鮮は10回にとどまった。昨年のオバマ大統領とミット・ロムニー共和党大統領選候補の3回目のテレビ討論会で、イランは50回出たが、北朝鮮は一度も話題にならなかった。最近の北朝鮮の相次ぐ挑発的言動で関心が高まったが、それでもイランとは比較にならない。

むろん、米国の外交で中東が持つ位置は重要だ。イラン周辺のイスラム諸国が核兵器を保有することは、米国にとって最大の悪夢のシナリオだ。米国には、北朝鮮がイランよりも予測可能な面がある。北朝鮮との関係は脅威と対話のサイクルが持続するという展望が可能だが、イスラム過激主義のイランは違う。カール・レビン上院軍事委員長は、「体制維持が最大目的である北朝鮮とは違って、宗教狂信徒が支配するイランは、いつどう出るか分からない」と警告した。

そのような点で、米国にイランの脅威は実体的で緊急であると認識されるが、北朝鮮の脅威は深刻な考慮の対象にならない。金第1書記がユーモアの対象になるのは多く目にしたが、イランのアフマディネジャド大統領が嘲弄の対象になることはほとんどない。

米国がこのように北朝鮮の脅威を過小評価するからといって、韓国は「仕方ない」と傍観していることはできない。イランの脅威の度に、イスラエルと米国内のユダヤ団体は米議会、政府、メディアに対してロビーを展開する。

来週米国を訪問する朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の肩の荷はそのため重い。北朝鮮の実状と韓国が主導する北朝鮮政策、韓半島信頼プロセスが何なのか、米国人に説得力をもって伝えなければならない。当選後初めて訪米する大統領としては珍しく朴大統領が議会上下院合同演説をすることは良い機会だ。金第1書記が米国が考えるようなお笑いネタではなく「深刻な脅威」であることを米国の政界や国民に明確に認識させなければならない。