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中国の原油と開城工団の電気

Posted April. 27, 2013 04:51,   

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記は3代世襲で権力を握ったが、一国の統治者として責任を感じていることだろう。指導者が相応の待遇を受けるには、国内の統治に劣らず対外関係でも能力を発揮しなければならない。韓国、中国、日本の指導者の交代で触発された周辺環境の急激な変化に適切に対応できなければ、金第1書記のリーダーシップは喪失せざるを得ない。米国のオバマ大統領が2期目にどのような北朝鮮政策を展開するのかも、金第1書記には焦眉の関心事だ。

「押し寄せる変化をただ待つのか、さもなければ先制的に動くのか」。ほぼ同時に起こった周辺国の権力交代を見て、金第1書記は少なからず悩んだことだろう。結論は、先頭に立って新たな勢力構造を主導することだった。長距離ロケット発射と3度目の核実験は、韓米中日のリーダーに送る金第1書記の公開宣言だ。大陸間弾道ミサイル(ICBM)と核保有を既成事実と認定し、北朝鮮を認めろということだ。

北朝鮮の開城(ケソン)工業団地稼動停止も南北関係の新たな設定を主導しようという戦略と見なければならない。開城工団は金正日(キム・ジョンイル)総書記が始めた事業だ。金第1書記は父親から譲り受けた事業をたたむことが親不孝であと知りながら、開城工団から手を引いた。それだけ新しい勢力構図の主導権を握ろうという意志が強い。

北朝鮮が始めた新たな勢力構図の中間決算をすれば、引くことができないという強硬論の中、「挑発→対話→補償」の過去のパターンに回帰する様子もうかがえる。韓国と米国が対話を提案し、中国はシャトル外交を始めた。北朝鮮の警告に押され、国連安全保障理事会が先月採択した北朝鮮制裁決議2094号は忘れられた。北朝鮮が、少し踏ん張れば核とミサイルで武装した「強盛国家」として公認されると錯覚しかねない。

北朝鮮の勝手にさせて譲歩する考えでないのなら、今回は別の結果を生み出さなければならない。方法はある。韓国と中国が過去のように行動しなければいい。

開城工団には致命的な弱点がある。南北関係が良くなっても、開城は北朝鮮の土地だ。にもかかわらず、李明博(イ・ミョンバク)政府は開城工団を5・24北朝鮮制裁から外し、むしろ規模を拡大した。北朝鮮が哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没を起こした2010年3月に4万2000人余りだった北朝鮮労働者は、今年1月に約5万3000人に増えた。3000万ドルだった1ヵ月の生産額も3600万ドルに増加した。制裁を叫びながら開城工団を拡大する韓国政府を見て、北朝鮮は弱点が分かったと喜んだかも知れない。

北朝鮮は、朴槿恵(パク・クンヘ)政府も同じだと予想し、通行制限と労働者の出勤停止カードを振りかざした。北朝鮮の判断が誤りであることを知らしめる必要がある。開城工団は韓国から供給される電気で稼動する。韓電が坡州(パジュ)、文山(ムンサン)変電所で開城工団までの16キロの区間に48の送電塔を建て、送電線を架設して電気を送る。韓電が開城工団に建設した「平和変電所」も韓国の財産だ。電気供給を停止すれば北朝鮮は手の施しようがなく、開城工団は稼動できない。

北朝鮮が挑発する度に、韓国は中国の原油供給の中止を求めた。今でも国連制裁の実践は中国が参加するかどうかにかかっている。にもかかわらず、先月の中国の北朝鮮に対する原油輸出量は10万6千トンで、前年同期に比べて8.2%増加した。韓国が開城工団で譲りながら、中国に強力な制裁を求めることは道理に合わない。千英宇(チョン・ヨンウ)前大統領府外交安保首席は、「北朝鮮が核を放棄するよう強い制裁を加えなければならないと主張する度に、米国、欧州連合(EU)、日本は『開城工団はどうするのか』と尋ねる」とし、開城工団が足かせだと指摘した。韓国が足かせを取り除いてこそ、中国を動かす動力が生まれる。中国を動かしてこそ金第1書記を夢から目覚めさせ、厳しい現実を見せることができる。