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[オピニオン]不良食品の思い出

Posted March. 23, 2013 03:23,   

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小学校時代、放課後に学校前の文房具屋は、いつも子供らでにぎわっていた。子供らは、「小銭」でホトク(小麦粉の生地の中に小豆などを入れて鉄板で焼いた食べ物)やおでん、トッポッキなどを買い食いした。先生からは不良食品を買うなといわれたが、先生の目を盗んで、こっそり買い食いする楽しみもなかなかよいものだった。子供らは、薬缶から流れ出る小麦粉の生地でたいこ焼きを焼く文房具屋のおばさんの前で、つばを飲み込んだりした。製造先の不明な「アイスケーキ」や「ハード」などのアイスクリームも、子供らの口を楽しませてくれた。オリオンやロッテ、ヘテ、クラウンなどの大手企業の菓子に目を向ける余裕の無かった子供らにとっては、不良食品ではなく「庶民食品」だった。

◆文房具屋の買い食いにも流行がある。「ホットドッグ」は後で登場したが、名前から耳慣れないものがあり、瞬く間に買い食いの王になった。子供らは、ポケットマネーをはたいた。今は、誕生日のパーティーをファーストフード店でやるが、当時は、ホットドッグ一つ買ってもらっても大きな贅沢だった。もちろん、衛生状態はいいはずがなかった。しかし、おなかを壊して苦しんだ記憶もあまりない。零細な小店だったが、文房具屋のオーナーと児童・生徒との間には、少なくとも食べ物においてはいたずらはしない、という信頼があったような気がする。

◆食品医薬品安全庁(食薬庁)が一昨日、大統領府で朴槿恵(パク・クンヘ)大統領に対し、学校周辺の文房具店では食品を売らせないと報告した。今後は、不良食品を作ったり、販売して摘発されれば、売上げ高の10倍の罰金を払わされる。また、「○年以下の懲役に処する」となっている規定を、「○年以上の懲役に処する」に変え、処罰を強化した。食薬庁の報告は、朴大統領が先の大統領選挙の時、不良食品を、性的暴力と家庭内暴力、学校暴力と共に、4大悪に規定し、撲滅を約束したためだ。

◆3大暴力を社会悪に規定し、撲滅させるのは理解できるが、不良食品を同一線上に置くのに、首をかしげる人も少なくない。学校前の文房具屋は、零細商人らが運営する代表的な街中商店街だ。庶民食品を生産する人も家内工業者であり、流通業者も自営業者であり、小商工人だ。たとえ小さいとはいえ、「文房具商店街」でバリバリと仕事をして食いつなぎながら、子供らを大学まで通わせた人たちは、ほかならぬ私たちの両親だった。麻薬やタバコ、酒が大手を振っている世の中で、学校前の文房具屋から先に締め付けるのが、残念な理由でもある。「不良食品」の取り締まりに反対する理由はないが、もし、文房具営業そのものに、しわ寄せがあってはならない。それとも、文房具店の食品に対して徹底した衛生点検を行い、そのまま生かせる方法などないだろうか…。

崔永海(チェ・ヨンへ)論説委員 yhchoi65@donga.com