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「スピードを上げると映らない」 死を招くナンバープレート

「スピードを上げると映らない」 死を招くナンバープレート

Posted March. 06, 2013 03:21,   

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会社員のユン某氏(34)は、ソウルから故郷の大邱(テグ)に向け、乗用車を運転していたところ、目のくらむような場面に出くわした。制限速度が時速110キロの中部内陸高速道路の無人監視カメラの前でスピードを落としたため、後続の車に追突されそうになったからだ。ユン氏の車をすれすれに通り過ぎていった相手の車は、スピードを下げないまま、2車線に割り込んだ後、すぐに1車線に戻り、ユン氏の車を追い越しながら突っ走った。2車線にもスピードを落とした車があったが、反則ドライバーは全く気に介さなかった。ユン氏は、「皆スピードを落とす監視カメラの前を、時速150キロを越える猛スピードで通っても、かからないのか理解できなかった」と頭を振った。

反則運転の種類は数え切れないほど多いが、その中でも最も違法性が高いのが、スピード違反の取締りを避けることだ。主に、違法ナンバープレートを使って行われるスピード違反の取締り回避は、故意に頻繁にスピード違反を行うという「確固たる意志」を持つ「積極的犯罪」に近い。東亜(トンア)日報の取材チームが実際、違法ナンバープレートを使って、その危険性について実験した。

●監視カメラの前でアクセルをさらに踏み込む

先月15日午後5時、京畿道華城市松山面(キョンギド・ファソンシ・ソンサンミョン)の交通安全公団・自動車安全研究院。黒いソナタが、3キロ以上も視野が広がっている道路で、轟音を鳴らしながら疾走した。100キロ、120キロ…スピードを出すほどこの車のナンバープレートは、魔法のようにさらに曲がった。

同日、研究院内の実験道路で行われた走行は、違法ナンバープレートが道路を走る時、実際警察の取り締まりに摘発されないことを確認するために行われた。実験に使われたナンバープレートは、いわば「曲がるナンバープレート」と呼ばれるものであり、警察による取締りの際に押収された物だ。車が走り始めると、空気抵抗によって、ナンバープレートがバンパーの後ろのほうに曲がり、監視カメラが撮影しても、番号を識別することができない。取材陣が実験のため、一般ナンバープレートを、曲がるナンバープレートに取り替えるのに5分もかからないほど、取り付けも簡単だった。

最初の速度は時速80キロ。実験に参加した警察の携帯向け監視カメラには、車の番号4桁が鮮明に映った。違法ナンバープレートの取締りを担当する交通安全公団のキム・ヨングク課長は、「世間では、時速80キロ以上なら、ナンバープレートが曲がるといわれているが、さらにスピードを出さないと取締りを避けることができない」と話した。

その後、スピードを120キロに引き上げた瞬間、警察のカメラでナンバープレートを撮影しても、識別できない状態になった。4桁の番号のうち、数字「8」を除くほかの番号は、見当すらつかなかった。同行した警察の関係者は、「この程度なら、識別不能と分類され、取り締まれない」と話した。

試験車両を運転していた同公団のムン・ドクス研究員は、「皆、スピードを落とす監視カメラの前で、時速120キロ以上を保つのは、それこそ自殺行為だ」とし、「いくら運転が優れていても、事故のリスクは高まらざるを得ない」と述べた。

●死を招くナンバープレートにまつわるさまざまな手口

違法ナンバープレートは、その種類も多岐にわたっている。ひそかに取引される特性のため、主に異名をつけて呼んでいる。その代表がいわば、「イルジメナンバープレート」。普段は、一般ナンバープレートと同じだが、スピード違反の取締り地域では、ナンバープレート上に取り付けられた発光ダイオード(LED)が点灯し、カメラの読み取りを不可能にさせる。目ではわかるが、カメラの特性上、反射するので写真が映らない。

ナンバープレートそのものをふさぐ自動スクリーンガード(いわば、ジミナンバープレート)もある。車の中でボタンを押せば、黒い布が下りてきて、ナンバープレートを隠す。

日本や台湾から持ち込んだ「ジェンマー」という装置は、監視カメラを感知すれば、カメラのほうにレーザーを発射し、スピード違反の数値を「0」にさせる。そのほか、若者たちの間で流行っている欧州流反射ステッカー、ナンバープレートに反射物質を吹き付けて、夜間の取締りを食い止める反射スプレーなどが、代表的違法ナンバープレートだ。そのほか、オンライン上では、「濡れた紙をナンバープレートに貼り付ける」、「雪の後にナンバープレートを洗わない」などの方法も依然、取りざたされている。

しかし、いかなる場合であれ、ナンバープレートを隠すのは、犯罪行為であり、処罰対象になる。自動車管理法によると、ナンバープレートを識別できなくさせる行為は、1年以下の懲役、300万ウォン以下の罰金に処されることもありうる。ソウル地方警察庁のキム・ホンジュ交通犯罪捜査チーム長は、「やや間違って、ナンバープレートを隠しても、処罰対象になる」とし、「モーテルなどで車の番号を隠したり、違法装備が取り付けられた中古車を購入した後、それを外さなかった場合も、同様に処罰される」と述べた。

●違法手口に追いつけない取締り

ナンバープレートをめぐる違法行為のうち、警察が「識別不能」と処理して、捜査を依頼したのは、昨年は計200件に過ぎない。それでさえも、2011年の158件から増えたものだ。識別不能と分類されたからといって、全て処罰を免れるわけではない。警察のコンピューターが、監視カメラの画面から番号を識別できなくても、あとで、警察官が目で画面を見て、車の種類などを分析すれば、番号を識別できるケースもある。しかし、人手不足のため、識別不能ナンバープレートを別途、目で確認するケースはあまりない、というのが現場の警察官らの主張だ。結局、多くのスピード違反をめぐる反則運転行為が、法の処罰を避けて通っていることになる。

このような違法的なスピード違反が続いており、スピード出し過ぎ運転の危険性はさらに膨らんでいる。11年、スピードの出し過ぎによる交通事故の致死率は30%に上っている。スピードの出し過ぎが原因の交通事故10件中3件は死亡者が出たという意味だ。これは、線路の踏切を渡っていて事故に会った場合(75.0%)に次ぐ、2位にもなる死亡確率だ。また、警察と地方自治体とに、違法ナンバープレートの取締り権限が分散したことも、問題根絶に悪影響を及ぼしているという指摘だ。

交通機関の関係者は、「専門性を備えた機関が取り締まりに乗り出してこそ、実効性を挙げることができる」と主張した。



jmpark@donga.com