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吹雪の中、体温で娘を救った父性

Posted March. 05, 2013 03:32,   

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2日午後3時、日本の北海道湧別町に住む岡田幹男さん(53)は、娘を迎えにいくために家を出た。小学校3年生の娘、夏音さん(9)は、家から約5キロ離れた児童センターにいた。

玄関のドアを開けると雪が降っていた。「雪国」北海道ではこの程度の雪はよくあることだ。しんしんと降ってくるのを見て、車なら20分で十分に娘を連れてくることができると思った。

軽トラックを運転して児童センターに到着した。娘と一緒に家に帰る途中、天候が急変し、強風が吹き、横なぐりの雪が吹きつけた。暴風雪だった。すぐに道路に雪が積もり、車が前に進めなくなった。

岡田さんは車を止めた。家までの距離は約2.4キロ。暴風雪の中で歩くには遠かった。彼は約700メートル離れた所に住む親戚の村川勝彦さん(67)に携帯電話で助けを求めた。「助けてくれ。雪で車が動けない」。午後4時頃だった。

しばらく待ったが、親戚は来なかった。ガソリンも残りわずかだった。ガソリンがなくなってエンジンが止まれば、凍死する恐れもある。どこかに早く避難しなければならなかった。

午後4時30分頃、彼はまた村川さんに電話をした。村川さんは救助に行ったが、暴風雨のために引き返していた。「燃料がない。ここから200メートル離れた知人宅に避難する」。村川さんはちゃんと冬の装備をしているか尋ねた。岡田さんは、「娘はスキーウエアを着ているので大丈夫だ」と言った。自分は薄いジャンバーだったが、気にしなかった。

トラックを降りた。1時間30分の間に外は真っ白になっていた。道路なのか畑なのか区別がつかないほど雪が積もっていた。方向も分からなかった。吹雪はおさまらなかった。来た方角と反対方向に向かって歩いた。向かい風を受けて歩かなければならないうえ、雪に足がとられて大変だった。しかし、200メートルだけ歩けば良かった。頑張った。

しばらく歩いて、やっと建物を発見した。しかし、知人宅ではなく倉庫だった。鍵がかかっていて中に入ることもできなかった。彼は力尽きた状態だった。吹雪を避けて倉庫の横に座った。着ていたジャンパーを脱いで娘にかけた。そして娘を抱きしめた。

村川さんは心配した。「無事に避難した」という岡田さんからの連絡がなかったためだ。岡田さんにいくら電話をしてもつながらなかった。「事故が起きた」と直感した。消防署に連絡したが、すべての隊員が救助作業のために出動していた。村川さんは知人に連絡して直接探しに出たが、暗くなっていたうえ激しい吹雪で、遠くまで行くことはできなかった。

翌日午前7時、消防署員が岡田さんを発見した。倉庫に寄りかかって娘を風から守るように、娘に覆いかぶさった状態で亡くなっていた。娘は生きていた。消防署員を見ると「足が痛い」と泣いた。

倉庫は岡田さんのトラックから約300メートル離れていた。そこから70メートルの所に酪農家があったが、岡田さんは吹雪のため発見できなかった。

村川さんは病院で岡田さんに会った。岡田さんの両手は娘を抱いているようだった。幸い、夏音さんの健康に問題はなかった。夏音さんは、「必死にトラックから降りた。その後は思い出せない」と話した。

朝日新聞によると、岡田さんは一昨年に妻を亡くした後、帆立貝とカキの養殖をしながら娘と2人で暮らしてきた。町内の住民は、「本当に仲のいい親子だった。70メートル頑張っていたら、温かい家があったのに」と悔しがった。

2、3日、北海道では2メートルも雪が降った。岡田さんを含め8人が大雪で命を失った。



lovesong@donga.com