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「その白い粉は何?」麻薬に誤解されることも 東西食品のプリーマ輸出奮闘記

「その白い粉は何?」麻薬に誤解されることも 東西食品のプリーマ輸出奮闘記

Posted March. 04, 2013 03:17,   

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「空港の検索台で麻薬密売商と誤解された時を思い浮かべば、今も気が遠くなります」

東西(トンソ)食品・輸出チームのハ・インホ部長(51)は、1994年からミルクの代わりにコーヒークリーマー(creamer)である「プリーマ(Prima)」を手にし、世界をまたに駆けて働いてきた。白い粉状のプリーマの試作品を携帯したため、空港で「摘発」され、苦境に立たされたことも数え切れないほど多い。でも諦めるわけにはいかなかった。国内では、コーヒーミックスが一般化し、コーヒーに入れるプリーマは、「一昔前の商品」となり、輸出しか道は残されていなかったからだ。

東西食品は現在、米国や豪州、ロシア、サウジアラビア、インドネシアなど27ヵ国にプリーマを輸出している。輸出初年度の1994年は110万ドルだった輸出額は、昨年は5502万ドルへと跳ね上がった。ロシアでは、41の流通会社に出店し、タジキスタンでは、市場シェアが77%を超えている。旧ソ連諸国の独立国家連合では、プリーマがシリアルやスープやアイスクリーム、パンなどのさまざまな料理の味付けに欠かせない調味料となっている。

●韓国流の販促戦略が功を奏する

プリーマの最も大きな市場は、ロシアを始めとする中央アジアだ。東西食品は、同地域で景品贈呈イベントを始め、チラシやコンパニオンを伴った試飲会、ラッピング(wrapping)バスなど、さまざまなPR手段を総動員した。全て、韓国で試みた方法だ。

ホ・ガン輸出チーム長(40)は、「この地域では、共産主義の体制の下で閉ざされていた消費者の心を開くのが、最も重要だった」と主張した。景品イベントを行っても、うそだと思う消費者に信頼を与えなければならなかった。輸出チームは、当選者リストをテレビニュースを通じて放送する「破格」に踏み切った。プリーマの景品イベントだけは本物だということを知らせるためだった。

試飲会を開いても、試食用製品の味見をしようとしなかった消費者らが、ようやく心を開き始めた。10年、カザフスタンで初めて行った景品イベントへの応募者は、1692人に止まったが、2011年、最後に行ったイベントには、計3万5770人が参加した。ネスレを始め、ライバル会社各社がPR活動に生ぬるかった隙を狙って、攻撃的なマーケティングを行ったのが功を奏したのだ。

そのほか、東西食品は、現地では初めて販促社員を雇用し、11グラム入りの試飲用スティック製品を開発するなどした。同地域の大手スーパーにプリーマ専用の店頭も設けた。景品イベントを通じて確保した顧客情報を活用して、新製品発売ニュースを携帯メールで送った。同地域には全く存在しなかったマーケティングだった。

ホチーム長は、「カザフスタン・アルティマの在来市場に行ったら、一人のおばあさんが1キロ入りのプリーマ10個を買っていった」とし、「今は、プリーマというブランドのみ信じて、購入する忠誠度の高い客が増えている」と話した。

●東南アジア市場向けに20種類のプリーマを作る

中央アジアでは、プリーマのターゲットが個人消費者なら、東南アジアでは、製造会社に供給するバルク(bulk)単位の取引が主流を成している。インドネシアやシンガポールでは、コーヒーメーカに、台湾ではバブルティーメーカーにプリーマを供給する方式だ。東西食品は、パンや菓子の生地をこねる時に入れるクリーマー市場を狙って、「ハイミルキー」という下位ブランドも立ち上げた。

東南アジア市場を攻略する時は、地元の口に合わせて「チューニング(調整)」する現地化戦略に特に気を使った。たんぱく質と脂肪との配合比率を、会社ごとに変え、さらに地元の人たちが好む香りを加えた。そのため、東西食品の輸出チームは、研究開発(R&D)から地元会社と一緒に呼吸を合わせている。このようにして適合型クリーマーが出るまで、およそ3〜4年がかかる。

ハ部長は、「東南アジア市場向けだけで、20種類のプリーマバージョンを作った」とし、「その国の人たちがどのような香りを好むかを突き止め、従来の製品に適用するのが最も厳しい作業だ」と主張した。

東西食品の輸出チームは、今年は7000万ドル、15年は1億ドルを輸出目標に据えている。今年はまだ、進出していないタイヤミヤンマー、インドなど、アジア地域を開拓し、米国や南米市場により積極的に進出する計画だ。アフリカ大陸も、輸出チームが数年内に必ず進出したいところである。

ハ部長は、「一部の貧困諸国では、プリーマを食事の代わりに使っているところもある」とし、「国内慈善団体を通じて、飢餓で苦しむアフリカ大陸に、プリーマを無償で普及することも模索している」と主張した。



salthj@donga.com