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[オピニオン]チベット人100人の焼身

[オピニオン]チベット人100人の焼身

Posted February. 15, 2013 03:00,   

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シリア内戦による死亡者が7万人を超えている。11年3月に内戦が始まってから、月平均3000人が命をなくしている。民間人が死亡者の60%を超えている。政府軍と反軍との戦いのように見られるが、その実、「民間人殺戮戦」だ。独裁者・バシャル・アル・アサドは、戦闘機やミサイルまで動員して、罪のない自国民を虐殺している。民間人の大虐殺が3年間も続いているのに、命の尊重や人権を叫んでいた国際社会は事実上、手をこまねいている。国連のやり方は、死亡者統計を発表することにとどまっている

◆シリア内戦の死亡者のように、チベット人らの焼身も、我々を悲しませている。チベットの暦で元日に当たる13日、チベット人の僧侶が、ネパールの首都・カトマンズで、自分の体に油をかけて火をつけた。この男性は病院に運ばれたが、命が危ない。外国メディアは09年、初の焼身死亡者が発生してから、100人目の焼身だと短くニュースを伝えた。中国は1950年、チベットを占領した。チベット人たちは、武装蜂起やデモなどで抵抗したが、中国の統制力が強まったことを受け、独立の夢は遠ざかっている。見かねた僧侶らが、教理を犯してまで、自分の体に火をつけて死亡する極端的な独立運動に乗り出したのだ。チベット仏教は、自殺を含め、あらゆる殺生を禁じている。

◆中国の最高人民裁判所と公安部は、「焼身する人々は、国を分裂させる目的で、公共安全や社会秩序に危害を加えており、焼身そのものは犯罪行為に当たる」とし、「これを手助けしたり、あおったりする者は、他人の命を故意に剥奪する行為として処罰すべきだ」という指針を出した。実際、焼身を幇助(ほうじょ)した容疑で逮捕されたチベット僧侶が、死刑猶予判決を言い渡された。死刑猶予とは、一応死刑を言い渡すものの、2年間の受刑生活を見守った後、無期懲役に減刑できる重刑だ。中国は、チベット人の分裂を狙って、焼身を企むことに関する情報の提供者に最高20万人民元(約3400万ウォン)の補償金を支給する制度を作った。焼身の原因を提供した中国の罪は、果たして誰に問うのだろうか。

◆国連安全保障理事会と北大西洋条約機構(NATO)は11年、「国民保護責任」を根拠に、リビア内戦に介入して、独裁者・ムアマル・カダフィ政権を崩壊させた。国民保護責任とは、国が自国民を相手に、人権侵害などの反人類的犯罪を行った場合、国際社会が介入してこれを抑制することができるという概念だ。05年9月、国連総会で満場一致で採択された。シリアの民間人虐殺は、リビア事態と似ている。チベット人の相次ぐ焼身を招いた根本的原因は、中国のチベット主権の侵害や人権弾圧だ。人間の命の価値が、国によって違うわけがない。国際社会は、シリアやチベットの犠牲者らに背を向けてはならない。後世が21世紀を「野蛮の時代」と記録するのではないか、気になる。

方炯南(バン・ヒョンナム)論説委員 hnbhang@donga.com